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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第40章 悔いのない人生を


私が覚悟を決める中で悟は、娘への譲渡はとりあえず折れたとはいえやっぱり不安らしく、初代に「その前に聞いていい?」と彼女に質問をしていた。しっかり質問をする体勢として手を挙げて。

「あまり強い力を継承したら危険なんじゃないの?譲渡後に受け取った側が死ぬ…なんて事ない?」

これまで黙って(拗ねていた)悟。
ここに来て初めて、鎹から鎹への術式の譲渡に口を挟むけれどそれも心配だから仕方ないこと。悟だって子供を大切に想ってるんだ、たくさん子供が居てもそのひとりひとりが私達の大事な家族。譲渡後の鎹が心配で初代に疑いの視線を向けている。

私が初代"鎹"による譲渡の話をされるまでに、彼女の気持ちを動かせたきっかけは夕陽が生まれた時、頭髪が私の地毛の色ではなく、真っ白であったって事。そしてその次に双子が産まれた事。
何度か"髪降ろし"で鎹だけを降ろして彼女と自分の子供が死にやすいのではないのかと悩みを相談したり、対策はあるかと話をしていくうち、次第に私の意見には否定から同調へと彼女の思考は変わっていった。

領域内におそらくは数千年くらいの体感で存在していただろう、彼女自身が末代とされた私といろんな会話をする事で、心に変化が現れたおかげでもあるんだと思う……。

この術式の譲渡は、私が勝手に末の子が生まれる前から初代と約束してしまった事だし、何年かして成長したこの子にどうして譲渡なんかしてきたんだと恨まれるかもしれない。それでもこれまでの積み重ねたものをまっさらにしたい、それも自分の子達をあの場所に閉じ込めない選択だと思ってる……恨まれる覚悟は私もしてる…嫌われる事だって。

──私の母が私に呪いが見えないようにしていた、非術師としての死を望んだ気持ちが今になって共感出来てるのは、私も母となって子供を守りたいと思うからかな……。

悟が初代に聞いた、危険は確かにあるんじゃないかと思うよ。
私が引き受けた術式よりも、使い勝手の良い十種影法術の玉犬を唯一、この春日の血を継ぐもので呼べる存在。初代は死後領域内で進化することなく玉犬までの段階であっても、譲渡した後は生きた鎹の努力によっては鵺や脱兎など従える式神も増える可能性がある。遠いけれども、春日家は禪院家から枝分かれした一族なのだし……。

顔の見えない鎹は、幼い鎹を見つめてるのかその布で隠された正面を娘へと向けていた。
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