第40章 悔いのない人生を
私の前に結婚していた悟の冥婚については……言っても今は難しい内容だし理解もされないだろうし。こじらせてしまうから、何かの機会に言うとして。
今では接触らしい接触の無い彼の元許嫁。今は何をしているのやら……音沙汰はなく。
私が彼女に掛けた呪いは始めこそ静かであったものの、どうあがいても無理だったらしく、しばらくしてから元に戻してという人づての言葉に今の彼女はよほど酷い事になってると見た。何年も経過してるからあの時の面影もないくらいに男性化してるかもしれないな…と想像していれば彼に似合わない沈黙を続けていた悟が口を開く。
「本来呪術師として相性の良いペアで婚約をするものだけれどさ。五条家の無下限術式を相伝するなら別の呪術師と結婚するのは血が混じって不純なものになっちゃうんだよね」
「…?」
もう少し大きければ理解出来るような内容を小学生低学年に説明をする、呪術高専の教師である彼は娘に呪術師の婚姻についてを説明していく。
でもまあ、この年齢でも蒼空だったら理解していたろうに、どちらかというと鎹はちょっと残念な所もあるので理解しにくいみたい……あまり悟の説明を想像出来ていない鎹は口をぽかんと開けて静かに聞いている。
「だから呪術師としての素質を持って生まれやすい、最低限の呪いが見える"窓"以上、呪術師以下が呪術を継承するには完璧なんだけど……。
御三家でも禪院家はどんな術式を使おうとも呪術師が生まれるならとしてるからそこは窓以上ならどんな呪術師でも良い!ってなるからそこは関係なくね?
パパとママは互いに呪術師でありながら、お互いの術式を持つ子供を産むメリットのある夫婦だって事で、パパんちのお婆ちゃんにもママと結婚して良いよーって許可してくれたんだ」
「へえー……お婆ちゃん、優しいね?」
難しそうな表情はにこ、と笑顔を見せる。それを見て苦笑いする悟は彼なりに両親や五条家を説得するのにとても苦労したんでしょう。
……私が知らないうちに御三家をなんとか納得させたんだから、この人は…。
「うーん、優しいかどうかは分からないよ~?利害の一致…いい事ってだけで考えてる所あるし。ママん所の春日家は女の子に確実に術式が継承されて、男の子にはママの影響は受けないから、パパの遺伝がこっちに集中する。だからうちの子達はみーんな男の子と女の子で術式が分けられるんだよ?」