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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第40章 悔いのない人生を


サア…、と静かな森の家の中に吹いた、僅かに賑わいを添えるそよ風。悟を見上げれば彼はじっと新しい墓石を見つめて口元に笑みを浮かべてた。

「ここのお墓ももう増えることは無いねえ…、ハルカの名前が婆さんにより勝手に掘られてるけどオマエはもし死んだとしても五条家で、死んだ後もずっと僕の側に居るんだから……」

以前のように悟と手を繋いでるわけじゃなく、彼との間を繋ぐモノのようにまんま"鎹"となってる娘の鎹。温かく少し小さな手をきゅっと握ると悟との間の両手が塞がった娘は私達を交互に見上げていた。

「これ、ママの名前だよね?なんでママの名前がお墓に書いてあるの?」
『……うん、曾祖母ちゃんが勝手に掘ったんだよ、私がいつかお婆ちゃんになる頃にここに私が眠りますようにって』
「でも、私は曾祖母ちゃんって見たことないよ?領域の中で隠れてるの?」

この歳になるまでに数度、呪力のリセットがてら子供達を見せに領域に行ったことがあった。
お婆ちゃんとして私の母、リョウコや叔母さん達を紹介したけれどヨミは紹介は出来やしない。
……だって、領域から追放されてしまったのだし。

それをうまく子供に説明する為に私は頭の中で言葉を巡らせる。良い言い回しはないかな、なんて。

『んー……曾祖母ちゃん、みんなに嫌われちゃったからあそこには居られなくなっちゃったんだ。だから出ていったの』

……あんな事をしたんだから嫌われたのは確かだけれど。鎹はふーん、と私に返して真っ直ぐに私の名前の入った縦長の墓石を見つめてる。

「みんなに嫌われるくらい、嫌なことをみんなにしたの?」
『ん、そんな感じ。例えばパパとママが結婚するのを邪魔したり、お婆ちゃんに酷いことしたり……色んな子供に意地悪したり…』

直接的な事は言わずとも、そう伝えれば私を見上げて興味を持ったのはその中のひとつ。

「なんで曾祖母ちゃん、パパとママが結婚するの邪魔したの?」

見上げるハの字眉に悟と私は数秒、目を合わせた。
お互いに許婚という相手が居たけれど結局は恋愛婚でこう…一緒に居るわけで。

『家柄も違うしねー…本来、私は別の人と結婚する事になってたんだ』
「ええっ、そうなの!?」
『あと、パパもママじゃない別の女の人と昔、婚約……結婚する約束をしてたんだよ』
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