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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第39章 七つの鎹


急げ、急げと脚を動かしながら僕は後ろを振り返る。

「わーっ、生まれちゃう生まれちゃうっ!傑、ちゃんと着いて来てるか!?」
「ああ!」

結構後ろで子供を両脇に抱えて走る傑が背後に見えた。傑の体格も考えるとさ、うちの子らがラグビーボールに見えなくもない……。走る傑にふたりともきゃっきゃとはしゃいで楽しんでてさ、流石僕の子供達、結構大物だよね~……。
猛ダッシュで一直線に向かう医務室方面。既に愛しのハルカの痛みに苦しむ声が通路にも聴こえて…。ドアが見えた瞬間に僕は足を止めると、靴裏をキュキュッ、と鳴らしながら滑って止まった。

「はぁっ…はぁっ……、」

振り向き、そわそわしながら傑を待つ。抱えられた我が子が近くなったのを見て、固唾を飲み、ドアに手を掛けた所で追いついた傑が荒い呼吸でそっと僕の子供をそっと足を着けるように降ろした。

「全く…、危険運転に急ブレーキ…!私にも、急に走らせるんじゃないよ……」
「しょうがないだろ…、だって……──」

ふたりしてドアの前で揉めているとそれを止めるのはドアの内側で呼吸を荒くして呻く声。

『いっ…つつ、たたぁ…!い、だぁぁ…っ!グッ……、痛い、痛いっ』

ドアを前にして僕ら大人ふたりと傑の前に寄せられた小さな子供たちの計四人。一緒になってその木製の仕切りを見た。この一枚隔てた先ではハルカが居る。ここで口喧嘩してる場合じゃないでしょ…僕たちは……。
何人だろうが結局苦しみながら生み出すのは結局ハルカだけの役割。僕には妊娠も出産出来ない事ならばせめてその苦しむキミの側に寄り添っていたいじゃん。

子供を運んできてくれた傑はハルカのこういった状況は初めてで(産み終えた後ならいつも来るけどさ)心配そうにドアを見ていた。

「……随分と悲痛な叫びだ…、産むっていうのは私達には味わう事の無い工程だから……悟の奥さんになった彼女は出産の回数も多いし大変だね…」

うん、と頷く。僕ら男にはそういう事が無いからね、何度でもこういう時ってハラハラする。以前なら映画とかでも演技で大げさにやってんの見たけれど。あれは役者の迫真の演技だけれどさ、実際はそれ以上に痛いらしい。
……あと、クワで頭をドギャ!とやられるよりはまだ痛くないって痛みらしいし!
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