• テキストサイズ

【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第39章 七つの鎹


てろてろと子供の歩く速度に合わせて歩きやがて寮が近くになると、見えてきたのは見慣れた巫女装束。歌姫はこちらを向き、明らかにゲッ!という嫌な顔をした後に私を見てすぐさま笑顔を見せた。正確には私より少し下への視線、だけど。
繋いでた小さな手が離れたそうにして、その顔を見れば笑顔で見上げてる。散歩中とかで仲がよくなった仲間を見つけた子犬のような、リードを引っ張ってそっちに行きたがるみたいなさ……。

「あっ、お姉ちゃん!お姉ちゃんだ!ねっ、ママ行って来ていいっ!?」
『ん、行っといで、歌姫お姉さんに失礼のないようにね?』
「うんっ!」

私を見上げ、大きく頷いた後、たたたたっ!と駆け寄り、手を広げて受け入れ体制を取った歌姫。そのまま腰を低くした彼女に構って貰いにいく蒼空。こういう反応は歌姫だけじゃなくここの学長にも同じ対応をする。学長にはお爺ちゃん!……ってね。
なんというか、悟を嫌がる人達に良く懐くから皆揃って同じことを言うんだわ……"本当にあの五条の子供?"って。

でれでれした歌姫が蒼空をぎゅっと抱きしめて頬ずりしてる。

「おー、よく来たねーっ!よーしよしよしよしよし」
「きゃははっ、くすぐったいよぉ~」

そこにプラスされるのが悟の手から離れた夕陽。先を越された!と短い脚で走りより、撫でられる蒼空の隣にすぽ、と収納されて両手でわしわしと撫でられてる。歌姫がなんだか、子犬と子猫に擦りつかれてるようになってる……。

こういう状況になったのは始めてじゃないけど、車内でのやりとりの秘密にたった今触れたであろう、父親の気持ちはどんなんだろ?繋いでた手から娘が逃げていったであろう、悟を見ればぽつん、と荷物を片手に立つ悲しげな人が私の斜め後ろに居た。
立ち止まった悟の隣に寄り、その目元を隠す表情を見れば予想通り、下唇をつんと出して拗ねてる。娘が父親よりも別の人に走っていったからねえ~…まだ同性だから良いけれどこれが老いも若きも関係なく男だった場合顎の下にクシャ、とシワが寄る。
顎の下男梅状態ね、しわっしわになるんだ。だから今日はまだマシって事で……。
/ 2273ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp