第39章 七つの鎹
京都校に到着したら悟と私で片手ずつ荷物を持ち、空いた手で勝手に飛び出したりして離れないようにと一人ずつ子供と手を繋いで。私以外の三人には未だ効果を発揮していない、一度きり身体を治してくれる式髪を縫い込んだミサンガが付けられている。
歴史を感じる京都への門を潜り、石畳の上を歩きながら寮へと向かう途中、悟は立てた髪を揺らして手を繋ぐ夕陽や私達にアイマスクで目元を隠した顔を向けた。
「とりあえず荷物を置きに寮に向かうけどさ。多分、子供を連れての家族での京都出張は一、二年が限度かもね」
『ん?五人も面倒みきれないとか?』
ちょろちょろするけどそんなに聞き分けの悪い子じゃないから面倒はまだ見れるほうだけれどなあ、と思ったら違ったみたいで悟は首をちょっと傾ける。
「んー…違う違う、それは人手があれば済むっちゅう話じゃん?年齢的に来年から蒼空は小学校に入るし、それに一部屋の寮で過ごすには子供の成長も早いんだから大変だろ」
『あ、そっか学校に上がると頻繁には来れないもんね~…』
「うん。東京の方で身内に任せながら幼稚園や学校に通わせておくしかないかな~……、監視って訳じゃないけど、僕らじゃ目の届かない位置で過ごすんだから呪術師、非術師に狙われないように色々対策も取らないといけないし…」
ただ子供の数を作るだけじゃなく、後の事も割と真面目に考えてんだなあ、と進むその背と小さな夕陽の背を、手を握る蒼空と目を合わせて追う。
ちょっと大きくなった二人は普段は大人しくさほど手間が掛からない。妹の方は兄と比べると行動力がありちょろちょろするけどさ?お兄ちゃんは悟とそっくりでありながらマジで悟の子?というレベルでいい子に育ってる。
……生まれつきそういう性格のせいか、父を見てこうはならんとこ、という反面教師というか。悟に似ながらも、五条悟という人名を聞くと嫌な顔をする人も、蒼空の性格を知ったら子供だけは受け入れていたりするんだよね…。