第39章 七つの鎹
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新幹線でそわそわと到着を待っていたチビふたり。ゆっくりと停車し、目を輝かせ「京都だー!」と声をあげていて私と悟はそんな子供達を見て笑い声を漏らした。
何度か連れてきた京都に今回は長男と長女を連れ、私は悟と共にとある用事があって出張にやってきていたってわけでして…。次女や双子はまだ小さい為に全員をこっちで一気には見られるわけもなく。
だから東京のマンションで三日預かって貰い、連れてきた二人と後ほどチェンジする。こうしてお出かけは皆均一に、寂しがらないようにって。
京都校の補助監督生が駅まで迎えに来てくれたので助手席に悟、後部座席に私と夕陽と蒼空が並び、車に乗ってそのまま高専へと向かった。
連れてきたふたりは確かにお出かけの好きな子らで(というか皆性格上活発なのかも…)でも一番の理由としては、場所というか人物目的、と言いますか。
運転席の後ろから窓の外を眺める蒼空、私の膝上に正座して窓の外に頬を着けて進行方向を見てる夕陽。この子らに尻尾が生えていたら犬であればブンブンと振られていただろうと分かるくらいに「おじいちゃん今日会えるかな?」「お姉さん今日は任務入ってないと良いね!」と互いに窓の外を見ながらに会話してる……。
「なんでキミら東京より京都でテンション上がっちゃうの?」
目の前の助手席に座ってる悟が少しこちらに横顔を見せても、気持ちは既に京都校に到着してるふたり。窓の外に視線を向けたままに「パパにはひみつ!」と声を揃えてはしゃいでる。
悟は「なんで、教えてくれたって良いじゃん」と笑みを含む声で助手席から後部座席のふたりと会話してるけど、私は知ってる……。知ってるけど、私自身も見に覚えのある事だからコレは口に出さず、『あんまに大きな声ではしゃがない、小さな子供も大きな子供も!』と車内に響く三人の声が上がってきたのを注意しながらその答えを胸にしまった……。
──このふたり、楽巌寺学長と歌姫に餌付け結構されていて胃袋掴まれてんだわ、と。