第39章 七つの鎹
ちょっと服を摘んでお腹を隠してやり、子供部屋のタオルケットを二人の腹部にかけてあげて。
こういう、一日の多くを皆で過ごせる時間なんてなかなか無くて、蒼空ももっと悟と遊びたいんだし、悟も忙しい中での休みでのんびりしたかったんだ。ここは無理に起こさない方が良いか…。
音を立てずにあと一人、長女の夕陽を探していく。
『夕陽ー…どこに居るの~?』
声を控えめに娘を呼んだ。
わりとわんぱくガールだからなにかしらして遊んでるんだろうけれど……と、リビングに向かえばソファーの上でぬいぐるみを片腕で抱き寄せ、ソファー下に二体、一緒に添い寝して落ちたか座らせてそのまま下にと零れ落ちたらしいぬいぐるみ達。カーペットに落ちているものを拾い上げて側に置き、この時期色んな所に散らばって眠る子供対策のタオルケットを夕陽に掛けた。夏風邪引かれると辛いもんね……。
眠る夕陽を起こさないように側に座り、生まれつき全て白い髪がこの子の地毛となる白銀を撫でる。同じ春日の血族、やがては自分で怪我を治すようになるけれど、私がすぐに治せるからといって怪我も風邪もケロッと治してしまうのは良くない。見てて辛いものではあるけどそれも大切な経験だと、そういうものは治さない。私も悟もそれは同意見だった。
便利だからと簡単に治してしまうのは間違っている。怪我や病を負ったとしてもすぐに治るからと甘やかす事で無謀に危険な事に突っ込む、命知らずな子になってしまう可能性だってあるんだ。
……例外として瀕死であれば命を助けるという事で治すけどね。
そんな事を思っていたら久々に誰か喚んでみようか、と数名親しく話の出来る一族達を思い浮かべてさ。私は母よりも初代を自身へと降ろしてみた。
産んですぐくらいは母を良く降ろして生きて抱けなかった孫を見せてみたりするけれど、たまにこうして遠い血の果ての子を見せるのも良いかな、てさ?
『……今の時点で私は五人、その中で女の子を三人、頑張って産んだよ』
『"そうか…、ひとりふたり程度の子を産む時代の割には、オマエは頑張った方なんだろうな"』