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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第39章 七つの鎹


小さな子供がトンボの羽根をむしり取るような、アリの巣に捕まえた昆虫を入れたらどうなるかという、命を知らず興味本位での無邪気な実験。そういう実験の後にどうなってしまうか……なんて考えずに、自分の大切なモノじゃないからこうも好き勝手に言えんだろ?
自分の大事なモノだったら丁重に扱う。
はじめから僕経由でやれと言って良かったけれど、彼女の側を離れる事を知られた状況では少し危険だった……。

これ以上ここに居ても仕方ない。アップグレードの出来ない古い脳みそじゃどれだけ伝えてもこちらの考えは伝わる事なんて無いんだ。
僕はハルカの元に帰る為にくるりと来た道を向いた。そんな僕の背に「五条悟!」と怒りを込めた声で呼ぶ。いつまでもここに居てもコイツらはゴリ押しでなんとかなると思ってるんだ、だったら今の僕で一番大切なものを優先するね!

「ただの拷問ならこれまで通りの痛みを与えれば良い。私はここで失礼しますよ、今日はとても重要なスケジュールが入ってるんでね」

「なんでもオマエの思い通りになるとは思わない事だな…!」

「ええ、それは私からも言えますね…?我々がアナタ達に常に従うとは限りませんので、そこは絶対にお忘れなきよう……」

コツ、コツ…と僕の足音だけが闇に響く。ドアの隙間から漏れる光が差し込む方へと進んで、眩しい外に出て。下げていたアイマスクを目元まで持ち上げて、髪を整えて……。

はあー……、と肩を落とし、総監部との呼び出しを終えて少しだけ気が抜けた。いや、イライラは残ってるけどさ。
外に出て医務室のある方向へ顔を向ける。今頃皆、何してんだろ?三人の子供らは聞き分けの良い子だからそんなに手間は掛からないけど、赤ちゃんがふたりってのはきっと大変だろうね……。

「んん~~…っ!はあ~……僕も今じゃ大家族の大黒柱かあ~…!妻に五人の子供、新五条家も随分と賑やかになったよねえ…」

そのうち上から拷問の依頼が正式に降りてくるだろう。
新しい技術、なんていわず今の彼女のままで充分、これ以上はハルカが壊れてしまう…身も心もね…。そういう厄介な上層部からも守ってあげるのがハルカを手に入れた僕の役目ってモンさ!

賑やかだろう医務室に向けて僕は歩き出す。この暗い話題は隠すことはせず、子供が眠った後に彼女に隠さずきちんと話さないとね……。
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