第39章 七つの鎹
悟に言われて帝王切開からどれくらい掛かったのか分からないけれど、きっとお腹が空いてるんだろうな、といそいそと前開きの服を開けていく。
悟が抱いてる小悟が大声で泣いているけれど、私が抱いてる方がだってほぼ同じタイミングで生まれたんだろうし…、と小春に片側だけ出した胸元に近付けて飲ませ始めると、悟が服に隠れている、私のもう片方の胸をぺろんと晒して、大きな口を開けて泣く小悟をそっと押し付けた。
ぐずり始めとギャン泣きの双子がピタッと一気に泣き止んで、くすくすと笑う子供達を見回し、悟は赤ちゃんを支えながらも笑ってる。
「そんなにおかしい?オマエ達も生まれたてはおっぱい飲む時はピタッと泣き止んでたんだけどなー?」
「えー?うそだ~」
……今は双子で満員の両胸も、良く舌の回る悟が吸えばピタ、とお喋りな悟自身も静かになりますけどね?とここは父親の威厳ってモンを考えて喉まで出かけた言葉を飲み込み黙っとくけど。
しばらくして、お乳を飲み終わって満足した双子を私が寝ていたベッドに二人並べて親子して覗き込む。私は寝間着で床に降りてさ、一番下の子には急に弟と妹が出来て、それを抱えて見せてさ……。
「あかちゃん、ねてるねー…」
『ん…お腹いっぱいなんだよ、夕陽もお腹いっぱいになったらすぐ眠くなるでしょ?』
「こっちが小悟で~…こっちが小春?」
「うん、そうだよ。僕のちっちゃいバージョン!っていうのと、ママがお嫁さんに来る前のお家が春日って言うからねえ……そのちっちゃいバージョン!って名前なの!」
「「「へー」」」
子供が三人から五人って賑やかになったなあ、ととりあえず満たされて眠っている双子を皆してじっと眺めていると、この静寂に機械音、悟の携帯がブブブ…と震えて主張していた。
こっちを向く悟。すっごく嫌な顔をしたもんだからその目(といってもアイマスクしてるけどさー…)を疑うようにじっと見つめた。