第5章 "好き"が止まらない!
39.
一限目の終わりの休憩時間と二限目の終わりの休憩時間に分けて尋問を受けた私は、洗いざらい吐かされるはめになってしまった。
一度一限目の終わりに逃亡を考えてトイレに行くから、と提案したけれど釘崎が個室手前まで着いてきていた。よく見る刑事ドラマの様で私に手錠が無いだけなんだな、と逃亡が出来ない事を察して素直に言うことに決めた……ので、ちょっとした抵抗で時間を食ってしまい二限目の終わりの休憩時間まで犠牲にしてしまったというワケ。
抵抗しなかったらさっさと終わってたかも……。
なんか朝の流れて普通に呼び合えてきているので少しクライメイトに慣れた感が出てきている。5、6程年齢差はあるとしてまあ…それは良い事なんだけれど。
『数学しんどい……』
三限目の数学が終わり死にかけている。二限目の後の事情聴取を受けた後の数学は疲労が溜まる。
一回通った道だからとてあぜ道はあぜ道なのだ。歩きにくく、躓く時は躓く。
苦手なモンは苦手だ。消しカスを机の端に纏めて居ると、"みたらいさー"という虎杖の声に作業を止めた。
『……ん?何さ?』
「高校出て呪術高専入ってるなら、今って強くてニューゲームみたいなモン?」
素朴な質問。確かに高校生を一度出てりゃ今日の授業も分かる。
でもそれはちゃんと理解していればの話。得意じゃない私にとっては分かりそうで分からない、スペースキャットの世界。
両手とも握った拳をダン!と机に叩いた。
『ばっか言え、これ(消しカスの山)をみてそうはならんでしょ!高3出てまたすぐ高1に戻るなら良いッ!、けれど5年くらい経過してから入ったら冒険の書のデータは消えてんの!スーパーデラックスのセーブデータ消去レベルなの!0%は言いすぎかもだけれど!数学のデータがお亡くなりになってんのッ!』
「4に拘るミスタばりに熱弁すぎない…?」
涙目にもなるわ、こんなもん。次の科目のテキストとノートを机に出した所で伏黒がちょっと引いている。
「3年間の知識どうしちゃったんですか」
『そんなもの、今勉強し直してたら"夢の中であったような…?"とかそんな感じだよ、そもそも苦手なモンは卒業後に極めたりなどしないし全ては高速で移動する点Pに攫われてったよ』