第39章 七つの鎹
その私と二歳児の一連の動作を会議内容に飽きてたらしい人物が見てたみたいだ。
議論の最中に私に声が掛けられてしまった。
「あれ、ちょっとハルカちゃん、まぁたチビ助増えたん?」
「これ、直哉会議中だろ。そこのガキ二人より集中力無くてどうする」
呆れた様子の直毘人に直哉は背筋を伸ばして私を指差した。
二人って事は蒼空と夕陽の事か…現在末の子は抱っこしてるしな…。
「だって気になるやろ?そこの座ったチビ助と膝の上のチビ助、あとなんだかハルカちゃんお腹膨らんどらん?
あ、太ってたってオチならごめんねー?直哉君ったらデリカシー無いわー、だなんて言わんといてな?」
「オイ、直哉。ハルカに失礼なこと言うとまたゲロ掛けられても知らねえぞー?」
ニヤニヤした真希が直哉にツッコむけれど当時は彼女はそこに居なかった。私から聞いた話だけれど時々こうやってネタにされるんだよなあ…。
記憶を思い出した当事者である彼。顔が引きつった直哉が真希から少し仰け反り、苦笑いをしてその記憶から現在の質問に対して急かすように「どうなん?」と私に答えを求めてくる。
『えー…会議中では?』
「僕は会議とかクソッつまんねー派だしむしろこういう話とか恋バナして過ごしたいかも☆」
『おいおい現当主殿、息子に代替わりさせっか?ん?』
急に生き生きとした表情でウインクをし、ぶりっ子ポーズをキメた悟はさておき。一瞬盛り上がった会議も直哉の一言で中断されちゃってなんならその答えを引き出さないと進めないくらいになってる。
……まじか。禪院家を前にして言うのはなあ、と躊躇いもありながらもどうせ産まれてバレるんだからと腹をくくった。
今は末の子が張り付いてる胸元と腹部。今はこうして隠れちゃいるけどいつかは隠しきれないくらいに膨らんでいくお腹なんだから。
『四人目と五人目ですよ』