第39章 七つの鎹
会議の為に普段は寝転がったりしていた大広間の畳の上には既に座布団が並んでおり、座卓無しで互いの姿を見える状態にて皆が揃い座ってる。
私が初めて参加した御三家会議の時は禪院家からは知ってる人だと伏黒が来ていたけれど……。前回真希と真依も来ていて、今回も二人は参加してた。高専での活動や真希自身の評価もあって、悟や伏黒から後押しあっての事なんでしょう、僅かながら禪院家に女性の権利が生まれだしたみたい。
……ンなもんだからか直哉の機嫌が今回も宜しくないようで。
あぐらをかき、膝上で肘をつき頬杖をついてる彼が足をわさわさと揺すってる。きっと禪院家の次期当主の座は息子であり術式のある自分が有利だと思ってた所、式神を使える伏黒や術式なくとも強い真希と直哉自身よりも若い世代が更に力を伸ばしてるってのもあるんだと思うけど。
「じゃあ、定例の御三家会議始めるねー」
「オイ悟、その軽いのなんとかしろ」
「ンな事言われても僕が僕じゃなくなっちゃうもん、このノリで行きまーす」
直毘人が悟のふわっふわな会議開始に文句をつけるけれど、それくらいでなんとか出来たら私も楽だっつーの。軽くあしらう悟は手元の資料見てー、と気だるそうに会議を進めてる…。
内心どこでもマイペース過ぎて締まらないなあ、と思いながら、子供用に長座布団を私の座布団隣に敷いたみっつの頭を見る。じっとこっちを見て大人しくしてるよ?という凛々しい顔つき。二歳でもこんなに素直ちゃんで大人しいのにね?と現当主を見れば悟はそのまま紙を手に視線を紙面と他の当主達を交互に見ながら報告を始めてる。
大口の契約してる一家の祓いについての担当が変わっただとか、加茂家に二件譲ったとか、呪霊目撃情報がそっちの担当区域にいるだろなんとかしろだとか…。悟の真面目な仕事をする姿(祓う姿以外で)は貴重だけど、やっぱりあくびしたりだるそうなのが彼のポイントを下げてるっていうか。
子供には興味の無い内容だしただ座ってるだけじゃ飽きてないかな?とちびっこを見ればふたりはまだじっとしていられるけど下の子が飽きて来てるっぽい。手招きして覚束ない足取りでやってきた子を膝の上に向かい合うように座らせて抱っこした。
キュッとコアラみたいに胸に顔を押し付けてる所を見ると、少し眠いのかも。そりゃあ姉ちゃんは難しい話をすると眠りに落ちやすいもん、妹もその可能性があるし…。