第39章 七つの鎹
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悟の実家である五条家。そこに彼や私、そして子供達を連れてやって来ていた。ただ挨拶に寄ったのならのんびりしていくだろうけど、今日はただの挨拶としてではなく重要な事があったから、こっちで着替えしなきゃいけなかった。
回数をこなすと鎹が居なくてもひとりでなんとか出来るようになった私は先に自身の着付けを済ませた後、三人の子供達の着付けを終わらせた。
大きな子から順番に着付けさせ最後の末の子の帯を終わったよ!ととんとん、と叩いて背を軽く押せば、全員の着替えが終わった事により自由を獲得した三人。笑顔満開フェイスでおばあちゃんちだ!とはしゃぐ子供達。
……いや、まだ自由にしていて良いけど目の届かない所に行かれるのはちと困るんだよねえ~……。
とりあえずはさ、なんとかひとりで着替えと三人のチビ達も着替えさせたけど、この場には悟はおらず。彼は五条家当主という事で実家に帰ってものんびり出来るってワケじゃなく仕事が待ってるから、いつも面倒くさくて帰りたくない彼はたまーに帰っては今日みたいに実家の仕事に振り回され、押し付けるに押し付けられるものじゃないので大人しく仕事をしてるってワケだ。
ま、多分ここに来た本来の目的の時間も近いって事もあるし今回の目的……"御三家会議"での書類をチェックしてるとはいえ。他にも五条家に仕えてる人達は居るし、手を借りようとすれば出来るけどここは誰かに遊んで貰うより私の目の届く範囲に居てもらえれば良い。
大抵私の側に誰かしら待機してる松竹梅トリオはどうやら準備で忙しく駆り出されてる模様。呼びかけても返事も無く、私は注意を向ける為に自分の子供達の名前を一人ずつ呼んだ。
一番下の子は二歳だからそんなに走り回らないとは言え、お姉ちゃんの夕陽がわんぱくガールなものだから手を繋いで連れて行く。四歳の蒼空は妹程じゃないけれど良い兄であろうと普段努力している分、こういう環境が変わって兄弟で遊ばせておくとこうも子供らしく元気に走り回っちゃう。
見てる分には微笑ましい光景。
子供らしく自由だし、御三家の子供であると何か抑圧されるようなものもなくのびのびとしてる三人の姿は、悟の過去のように家や血族に縛られない子供らしく過ごせるように…と育てた私達だからいいんだけど。
『こらー、今日はお客様がたくさんお見えになるんだからいい子にしてよー…』