第39章 七つの鎹
「だからさ、また僕とハルカの血を繋ぐ子を作ろうよ。その、キミさえ良ければ…なんだけど……ハルカが嫌ならもう少し気持ちが整理出来るその時まで待つし…今回のえっちでゴムもするしさ…だから、考えて欲しいんだ」
私から逃げた彼の視線。さっき手を伸ばして取ろうとしていた、コンドームがしまってある引き出しがあるからその方向を見たっていうんじゃなくて、本当は避妊しないでこのままえっちをしたいって悟の気持ちが伝わってくる…。
四人目を作ろうって事。いや、二度生まれなかったから本来であれば七人目なのかな…。あまり人の形になる前に出ていってしまったから性別もよく分からなかった、小さなふたつの命。
……悟の逃げた視線の先を私も見る。この行動に意味なんてないけれど…。
確かに、縁が無かった事については悲しかったよ?産めなくってごめんって、何日も謝った。悟にも空っぽの自身のお腹にも。
でも、それで傷付いたからこれ以上は要らないってわけじゃない。悟の励ましの言葉でその時を早めて出ていってしまった子が舞い戻ると、次こそは健康的に産んであげようと、その新しい家族の産声を聞きたかったんだ。
変に彼の配慮で妊娠を避けてたここ数ヶ月の夜の営み。育児や互いの仕事で時間やタイミングが合わない事以外にも、えっちをする機会があっても以前より彼自身が気を遣って回数も減らしてるように感じてた。
ずっと悲しい気持ちなんかじゃないし、しばらくすれば私だって前向きにもなるよ?
私からも避妊しないでしよう?と言い出したかったけれど、ここしばらくは育児も仕事もお互いに非常に忙しくて言い出せず……御三家会議もあったしね、このタイミングで妊娠したら私以上に忙しい彼に更に負担がかかるだろうって思ってて、私からも悟に気を遣ってにタイミングを後回しにしてたんだけど。
確かに忙しい時期っていうのはあと数週間で終わろうとしてるし、子供たちも寝付くのはともかく割と聞き分け良く育ってると思う。一生懸命、悟みたいなちゃらんぽらんにならないようにしつつ、それなりに子供らしく自由を、そして私の知る限りの常識を教えつつ。
人が嫌がることをしない!と小さいながらに理解してるとは思うんだよね。