第39章 七つの鎹
379.激裏
眠りに入る間に子供部屋を真っ暗にならないよう、照明の明かりを最小にし、ようやく安らかな顔を見せた夕陽の側でそっと布団を掛け直す。
定期的に上下する胸元、後は物音を立てないようにここを去るまでが私の子供たちを寝付かせるってミッションよぉ……!
お兄ちゃんの蒼空はもう四歳。ひとつ下の妹はまだ心配だからベビーベッドの上だけど、夕陽は今日もぐずってなかなか寝付けず三人の子の中で最後に眠った。赤ちゃんだった時よりも寝付きが悪いのは暗いのが怖いとか不安なのかな?思い出すのは私も親と一緒に寝ることを卒業して初めてひとりの部屋を与えられた、真っ暗な部屋で眠れなかった記憶。
今は三人の子達はすやすやと穏やかな表情をして眠ってる。
『ん、いい夢見てねー…』
掛け布団の上からぽんぽん、と優しく叩いた後にそっと音を立てないようにとドアまで辿り着いて。スイッチの音を立てないように指をぺた、と触れた後にゆっくりと力を入れて明かりを消し、ドアを締めて子供部屋を後にした。
もしも泣いたりしてもスピーカーから寝室で聴こえるし(こっちの音はこちらからオンにしなけりゃ聴こえないし)今日はいつもよりも早めに寝かしつけられたかも、だ…!
ひとりガッツポーズをして歩く音を立てないように、つま先でトトトッ、と悟の待つ寝室へと急ぐ。
寝室のドアを開けて入ればベッドサイドの照明を着けて待ってた、緩めの黒いTシャツを着ている悟がベッドの上であぐらをかき、スマホを充電器に繋いだ所だった。私に気がつくと手を挙げてにこ、と口元で笑う彼。
「おつかれサマンサ~!寝ない子寝かせられたみたいだね」
『ん、ばっちりです。多分私似だろうねー、難しい話すると寝付きやすい』
「あ、それは僕も同じだ、じゃあ夕陽は授業中の居眠り常習犯になるぜ?」
教師がソレでいいの?とジトーっと視線で文句を言えばそのベッド上をとんとんと叩いて呼び込む悟。そこに私もゆっくりと近づき、悟と同じくベッドに上がる。
ふたり専用のベッドに乗って正座してみれば彼は満面の笑みを浮かべ、あぐらをかく中央を私に見えるように人差し指で指してる……ここ、ここ!って。