第39章 七つの鎹
「それは、さ…?まあ、仕方ないで纏まる話かもしんないけど」
『……うん』
「先生はハルカの事をすげえ大事にしたいんだと思うし守りたいっていう気持ちは俺、分かるよ?
子供だっているからそいつらの大切な母親を守んないとって思うし、先生はまだ兄弟作るって言ってたし奥さんとしても守らないとって思うだろうしさ?
ぶっちゃけ先生って俺達から見てハルカのケツにいつも敷かれてるってか、ハルカの言うことを割と利いてるじゃん」
……言うこと、利いてるか??その彼の言葉が納得できず、んー?と首を傾げた。虎杖の序盤の言ってる事は分かりました。けど最後の言うことを利いてるって。
『……アレで言うこと利いてますぅ?ポケモン金銀の序盤のノーバッジの交換して高レベルのイワークみたいに自由奔放なんですけど?』
虎杖は後頭部をシャリシャリ言わせながら、その視線が泳いでる。
「えー……自覚無いん?他所じゃ五条先生、手が付けられないくらいもっとフリーダムだけど?」
『……あれ以上に??アッすみません、家で言い聞かせておきますわ!
拳で』
というか、プロレス技で……。
ひとり虎杖に見えるようにガッツポーズをしてみれば彼は少しぎこちなく笑った。
「ははは…っ!そういう所で先生、オマエに尻に敷かれてんだろうなあ~……
あ、ハルカ!あそこの呪霊!」
ささっ、と私の肩に手を置き、もう片手で指差す階段上から近付かずに様子を見てる呪霊。
大きさもちょうどよく、感じる呪力は先程までよりも多く…。虎杖の言う通り丁度よい呪霊、みっけ!と私も虎杖を見る。互いにアイコンタクトであれにしよう!と心が決まったみたい。
「じゃあ、俺が背後から!」
『私は正面……、逃げながら建物の外にまで引き寄せるよ!』
「オッケー、じゃ、始めっか!」
パン!といい音でハイタッチをした後、彼は通路奥に一度進み、私は呪霊を引き寄せて来た道を戻るように小走りに足を急がせる。
久しぶりの任務だけれど、こういう我儘に付き合ってくれた任務三昧の悟には、今日はいつもよりも少し多めに撫でて甘やかしてあげようって心に決めて……。