第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの
食い意地の遺伝は置いておき。
夕陽はまだ騒がないな……、食事を始める前におっぱい飲ませたからもうしばらくすればオムツが不快だと騒ぐと思うんだけど……。
自身も時々ご飯を食べながらに蒼空に食べさせる事に夢中な悟をじっと見つめた。車で見た報告書の文字……、きっと高専内の本でも探せば一番だけどさ?私には常に側に教師がいるから、本を探し回るよりも確実である、質問がし放題なんだよね。
普段は暇さえあれば下らない事を吐き出す壊れたbotみたいな悟でも、学習面での質問をすればまともなレスポンスが出来るでしょ、と嬉しそうに息子に夢中な悟を特等席で見つめていたら、気が付いた悟がスプーンの先端に離乳食の乗せてこっちに向けてくる。
「バクシーシタイム?もー、子供の分も欲しがっちゃって~!」
『私は離乳食欲しがってねえよ??てか、人の食器で子供に食べさせないのっ!虫歯とかになるでしょっ!』
「ちぇー、分かってるよ~だ!……はい、蒼空、オマエのご飯だったね、ママにあげないから食べなさい?全部キミのものだからね」
見ている間に私に向けてたスプーンを、手を伸ばして焦るように「あっあっ!」と文句を言っている蒼空の口へと持っていく。
そんな姿を眺めてたら、私に視線を向けないまま息子に食事を与えながら「で?」と悟が聞いてきた。
『で…って?』
「なんか僕に言いたい事あるんでしょ。オマエは分かりやすいからねー、僕がどれだけオマエと過ごしてると思ってんの?」
……だいたい三年くらいだっけ?十何年とかびっくりするほど長期間は一緒に居ないんですが。
首を傾げて見れば、小さな器を傾けてカッカッカ、とかき集めた最後のひとくちをスプーンに取って食べさせてる悟。
それを息子が食べ終えたらカラン!と器にスプーンを置き、蒼空の唾液と離乳食で汚れた口元をよだれかけで拭っていた。
『どれだけの期間を一緒に居たってのはさておき。悟……いや、五条先生に質問があるんですが』
ピタ、と動きを止めた彼は蒼空を見る。息子もなんだ?と言いたそうに驚いた顔で悟を見上げ悟はこっちを見ながら髪や服の身だしなみを整え始めた。
なんで??
「……んー、ンフフ…おほん!
もしや禁断の…先生と生徒プレイをしたいのかな?"赤ちゃんはどこからくるの?~夜の補習編~"的な、さ?」