第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの
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悟の任務を送迎をする為の運転中…後部座席では、悟が私の代わりに子供ふたりを構ってあげて、運転中出来ない私の代わりにきちんと世話をしてる彼。
ルームミラー越しにその様子を度々確認をすれば、アイマスク姿の悟がきゃっきゃっとはしゃぎながら幼い子どもをあやしてる。子供ふたりを任せられるのは有り難い事だし助かるんだけど。その賑やかな会話(一方的)は時々放っておけない言葉だったりするんですよね……。
携帯を何度かカシャカシャ鳴らした後に子供と一緒に声を出して笑う悟。たぷたぷと携帯の操作をしてる…。
「よーし、ベストショットでーす…これ七海に送ろーっと!」
『毎日送るのはせめて身内だけにしろ~?私の家族とかなら喜ぶから。七海さんとか伏黒とか毎日あんたの相手出来ないくらい忙しいでしょーに…』
──そう、これは頭の片隅では分かっていた事だけど実際に行われていた事……。
ある時、伏黒から「五条さんが高頻度で子供の写真を一日に何度も送ってくる」と苦情を耳にして発覚したのが、私の旦那による子供の写真の連続送信についてだった。
毎日複数枚送ってくる…下手したら数分単位、一気に二十枚くらい画像送信してくる……という、微妙な表情をしてのクレームを受けてしまい、悟の動向を管理(いや、管理しきれないっての!)を任されている私はそれを真摯に受け止めたんだけどさ?
こうも面と向かって苦情を受けちゃ私もなんとかしないとって悟に注意をしたよ?
嬉しい事・幸せだって事はよく分かる、毎日が子供の成長……笑った、見つめた、新しい言葉っぽい何かを口に出した瞬間だったり……。悟が喜ぶように私だって携帯で静止画も動画も撮ってるしさ。
ふたりが喜ぶ事でも人によっては迷惑行為となれば別。こちらから彼に二度ほど、やりすぎで迷惑に感じる人も居るんだと注意したんだけど悟はその状況で返事はしても、この暴走は止めてくれないみたいです。
今もふんふん「ロスティンペリダイ♪」とハミングしながら七海に送信してる悟。そのテンションを爆上げさせる喜びは分かるわー、さっきのにこにこと誰にでも好かれる天使みたいな笑顔を見せてくれるんだからそれを送ったんでしょ?
だからこそそういう成長を喜ぶのなら私か悟のそれぞれの家族に送れば良いんだけどそれはなく、この業界では頻繁に顔を合わせる相手の人間に送りつけている彼。