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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの


面倒くさそうっていうか興味ない、という表情でこっちを見てからベッドに視線を向けてる、鼻の頭に横線の入った謎の男。目の周りもやや血色が悪そうでこの段階では良い人間には見えなかった。
当たり前のようにこの場に居るけどさ、初対面だし素性も分からない。制服じゃないから生徒でもない…部外者の可能性だってある。高専を中心に活動する呪術師かもしれないけれど、なんにしろ私はこの男の素性を知らないんだもん。

──最悪の場合、子供が危険に晒される場合だってある。

固唾を飲みその黒髪の男を見上げた。

『あんた……誰よ?』
「俺か?俺は……お兄ちゃんだ」
『オニイチャン…?オニイチャン=サン…』

これで分かったろ?的な意味を込めたような、ふっ、と勝ち誇った笑みを見せ「九人、いや十人兄弟の兄だ」と付け足した後に通せんぼしていた私の腕を下げ、ベッドの側に寄り付く自称、お兄ちゃん。
あんた誰?にお兄ちゃんじゃこっちはだから何さ?と想定外の返事に困るだけ。
とんでもねえ不審者も居たもんだ、と気が付けば腕の中の夕陽は泣き止んで手をバタつかせてる。一時休戦かあ……すぐに元気チャージして腹減ってんだけどーって泣くんだよねえ…騒がなくなったのは良いけどまた泣く気配を察し。

この問題を解決するには私が胸元を晒す事になるんだけど、不審者入って来ちゃったからな~……。

黒髪ツインテの男は小さなベッドの中の息子にそっと指を近付ける。
子供目当てか?とせめて意識は私に向けねばと言葉を吐き出す。

『そのオニイチャン?はここに何をしにきたんです?怪我?それとも何か違う目的で?』
「俺自身は怪我はしていない……ただ、弟が怪我をした、と聞いてな。ここに悠仁が来てると思ったんだがな…来ていなかったようだ…」
『悠仁……?それって虎杖悠仁、の事?』

そうだ、とぷっくりとした子供の頬をつつく男。その触れ合いにちょっと驚いたのか、蒼空は口と目を大きく開き、その後キャッキャと楽しそうに手をバタつかせて身体をこてん、とうつ伏せになってる。ハイハイモードに移行してますね…。
子供から口元に笑みをうっすらと浮かべた男の横顔に視線を向けた。

『ここに虎杖は来てませんけど?』
「そのようだな。しかしきっと来るだろう、それまでの間はこの小さな兄に兄弟とは何か、先輩お兄ちゃんが実際に教えてやろう…フフフ…」
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