第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの
現代だとブレスレットのようなモノが一番身につけて居られるものでピッタリで、その次に子供らしくいつでもそばに置ける人形が適切って聞いてさ、とりあえずは髪をこっそり混ぜ込む為に太めな糸を買ってきたんだよね。
何色もの刺繍糸、ミサンガ作りに最適!ってポップが貼ってあり、好きな色を手に取って知識を照らし合わせた結果…これやー!って即買いだった。
中学生の時、私の学校ではミサンガブームあったんだよね~……といっても私、すっごい簡単なものでもいざ作ってみたら自分で言うのもなんなんだけど下手くそでさ。完成したっていうのにぐっちゃぐちゃな出来映えで、「あんたのソレ、気に入らないドレッドヘアーからもぎ取って来た…?」と友達に腹を抱えて笑われながらツッコまれた記憶。
ウン……そんな事を思い出したら私、手先が器用ってワケじゃないんだけどな?経験あってもこれ…綺麗に作れんのかなー…?
作り方と使用法は譲渡の際に伝えられてる。問題は私が作る時に器用に出来るかって事。
子供を見れば静かに眠ったまま……よし。
初号機を作るぞ!とまずはパッケージから刺繍糸を数本取り出してデスクに置き、次に自身の髪を一本ぷつん、と引き抜いてじっと見る。
以前、硝子に毛髪や血液を数度取られて調べられた時に「髪は伸びて切るものだから、毛根に近いほどに式髪としての効力を持ってる」と言っていた。
また、白髪化したものではなく地毛が"負"を吸い込める状態であるから、リセット・発散をしていない白髪化した式髪は使えないって事だよね……。
椅子に座って作業を開始する。
三本の刺繍糸で編んでいくんだけど、編み方を携帯画面の手芸動画を何度も五秒戻しながら、その私の一本の地毛と共に毛根部分からどんどん編み込んでいく。
『………』
画面を見て手元を見てと時に間違えたり力加減がおかしくなり、キツく編み込んだりそれを緩くしたりと処女作はやや歪な作り始め。中程までくるとコツとテンポが分かってきて動画を消して集中出来るまでになってきた。序盤が大変歪だけど中盤からはジグザグ模様が綺麗に出てきてる。
いいぞいいぞ、ノリにノッてきた…!って手を動かし集中モードに入りかけた時だった。
「う…っ、ぐずっ…!んんっ…んー…うわあん!」
『……おー、起きて早々にエンジン掛かっちゃったかー……ちょっと待っててね、』