第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの
『お寿司っ!?』
「そ、お寿司。行きたくないんでしょー…だって僕はオマエから見たら情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さに速さも足りないし頭もサザエさんみたいに見えてるし、伊藤誠みたいな内面に感じてるんでしょ?
僕、自信無くなっちゃうなー!最近奥さんに褒められてないもん、たまには褒めて褒めて褒めちぎって自己肯定感マシマシになるくらいにペーパーマリオばりに伸ばされたいなー!」
『おい、サザエさんとか伊藤氏とか…後半キレた仗助とガチのおクズMVPいますけど??』
わざと拗ねた顔をした悟を見て、包み込んだ片手をもみもみとしつつ。
『……悟は、私の自慢の旦那さんだと思いますけど(色々と欠けてるけど)』
「ん?今なんか含めて言わなかった??」
どうしてこういう時だけ勘が良いのかなー…この人っ!と見上げたサングラスから見える、青い瞳。
『だから、その…大好きだよ。愛してる』
「ふーん…で?そのキミの大好きで愛してる悟君の傷付いた心を埋めてくれるようなイイ事とかないワケ?」
ちょっとだけにや、とした表情。この場でキスとかかな……でも。
ほんのりと熱を感じながらも真っ直ぐと見上げて、私は彼から視線を離さない。
『……もし、今日のデートコースに無いのなら。"休憩"的なコト、しても良いよ…?』
「ン゙ッ…!まって、予想外、そう来るとは思って無かったんだけどっ」
作っていた勝ち誇った表情は見る見る崩れて下唇を噛んで耐える悟。包んだ手にじわじわと汗が滲んでる。
ほんのりと頬を染めてため息を吐いた悟。私が包み込んでいた手を引っこ抜き、ハンドルを握り始めた。
「それ…休憩だけじゃ済まないだろ……たっぷり可愛がってあげるから、お寿司も買い物も、我慢出来なくなっておっ始まるえっちも含めて、僕とのデートを楽しんでね」
『わあ…久しぶりに真っ赤になったね~……』