第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの
微笑ましいでっかいもふもふとちっさいもふもふの戯れを見て、笑顔が溢れてしまう中で私は携帯を確認した。
そこには伊地知からのメッセージが二件。追加任務についてと、その任務先の調査済みの詳細はデータとして送られてるって件。
いくら別件の事件に巻き込まれただとかそれで疲れたとか零しても、これはこのまま帰れそうに無いみたい……。
仲睦まじい親子のアイマスク綱引きを彼の額を指先で押して中断させた。
『残念なニュースその一と残念なニュースそのニがあるけどどっちから聞きたい?』
片手に持つ携帯で調査内容を見ながらスクロールをしていく。一件は車でそう遠くないけどもう一件は今から千葉まで行くみたいだな……帰りは遅くなるかも、だコレ。
残念なニュースというワードか、それとも極稀に起こる空気を読むモードを発動したらしい悟。感づいて口がへの字になり、顎にはクシャ、とシワが寄せられてる。あ、これ今から文句言いますわ!
「ぜってぇ追加任務でしょーっ!やー!僕も赤ちゃんになるー!」
『赤ちゃんはとっくに卒業してるでしょー、いい加減大人として成長してくださいねー?』
私の選択肢とは言えない選択肢を耳にした。幼児退行以上だったわ……。
大きな赤ん坊はわぁん!と少し恥ずかしい声量で腕の中のはしゃぐ子供に泣きつき、はしゃぐ息子にいいタイミングでぺしぺしと叩かれていた……。