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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの


373.

「ハルカ、キミはやりすぎだよ」
『……』
「こら、僕が今話してるんだから視線を逸らさないの」

予想通り任務中だった為にメッセージを後から確認し、遅れてここへと辿り着いた悟。悟のレクサスは私が乗ってこっちへ、離れた場所に停めてあるから彼はここまで車で来たわけじゃない。悟を降ろしたあの場所からここまで走ってきたのかな…それとも術式も使ったのかもしれないけどさ。
そんな生身のまま、おんぶ紐をして背負われた蒼空が大人しくしてる。

この場に着いて早々に周囲を見て、全てが終わったのだと察した彼にこうやって対面での説教を食らってる私。やりすぎ、と言われてもやりすぎなのはどっちだよ、と言い返したいくらいなんだけど……?

顔を上げて悟の背後からちら、と見える息子を見る。自身の指をしゃぶってきょろきょろと周囲を見回し、私に気がつくとにこにこと笑ってしゃぶっていた手を口から出し、両手両脚をばたつかせてこっちを見ろ、と主張して……。
そんなわんぱくな背中の様子に気が付き、小刻みに跳ねてあやす悟。

「もー、今僕、ママをお説教してるんだけどなー?」
「きゃっきゃっ!」
「ご機嫌ねえ……まっ!僕もママに会えたの嬉しいから分かるよ~?だからってハルカを甘やかすわけにはいかないんだよ……これも仕事のひとつだからね?」

アイマスクを着けたまま周囲をあちこち見てる。
とりあえず彼はもたもたと歩いて離れた所にいた男の元へ向かい、些細な抵抗をする男を引き摺ってこちらへと連れてきた。
腕を抑え、呼吸を荒げている男はがっくりと頭を垂れて顔を伏せている。

「とりあえずこの男を一応治療して。今からここにお迎えが来るから引き渡しね!」
『はぁい……』
「なにその返事、生ぬるいんだけど?」
『はい』

なんだよなんだよ、こちとら殺されかねない状況だったんだけど?
ぶすくれながらも渋々コトリバコを取り扱っていた男の背に触れて治療をする。切り離した腕は地べたに転がってるけれど治すのにはもう使えない。時間も経ってるし傷口からコンクリに落ちてたでしょうしね。

私が破壊した呪物の破片もあるし、腕の処分と破壊済みの呪物の破片も追加で処理班を呼ぶとして。
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