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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの


箱は開いたのではなく(箱の形状をしているとはいえそもそも簡単に開けられる構造になんて見えないけど)、その側面からぬるりとにじみ出る呪い。実際にコトリバコの呪いを見たのはこれが初めてでなるほど、こういう見た目なんだ……、と緊張の中で少しだけ呪物についてを不本意ながら学んでしまった。

呑気に相手の出方を待ち続けてもただ一方的にやられるだけだろ、と可能な限り温存していた、私自身に譲渡された祖母、ヨミの術式を展開した。
ヨミが使用していたような場所という縛りもなく、私の手の届く範囲程度の狭い範囲の薄い膜。使ってる間溜め込んでた呪力を消費するけど、普段全自動で呪いをホイホイと寄せ付けていたのとは反対に、これは呪いを寄せ付けないもの……、もっとも人間自体には効果がないけどさ?

私とお腹の子の身を守る為にその術式を使って、そのままじりじりと前へ歩を進めた。封印の解かれた呪物はこのまま放って置くことは出来ない。事態が大事になっちゃう。
ゆっくりと踏み出す私を見て、ぷっ、と吹き出した女。

「あら、自ら死にに来たの?そういうのは歓迎よ、苦しみながらも私の目の前で死んで、楽しませて頂戴?
そして私の悟さんを開放なさい」

苛ついて舌打ちが漏れた。こいつマジで性格、悪っるいなー……。
きっともう、この人はまともになれやしないんでしょう。痛い目に遭わない限りはね…?

『だからあんたの悟じゃねえっつーの。調子に乗りやがって…、あんたが調子に乗れるのは、その呪物があるからなんでしょ?それで私を落とせると思ってる…』

……そして調子に乗る原因のひとつに悟が今、この場に居ないこともある。
サトールは連絡を入れたと思うけど、すぐに駆けつけてこないという事は任務中で帳の中って可能性がある。帳が降りた中だと携帯は圏外になるって聞いてたから、上がった後に通知としてメッセージが入るはずだし。

今、こうして春日の本質の呪いを寄せる行為とは異質な、守るための拒絶する術式のおかげか、箱から溢れ出した呪いは一直線に私を目掛けて襲いかかろうとしている。
まあ、私目掛けて来るも悟の無限とは違う、見えないガラスに顔や身体を押し付けるようにして食い止められている。

ドロリと崩れながらも形を残した呪い達。
内心、怖いけれど私にしっかりと呪いを拒絶していた。
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