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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの


「だって、私の見えない所で死んだら貴女の死に顔を知ることが出来ないもの!死ぬ時の表情、情けなく命乞いする叫びも絶命する瞬間の声も私は確実に目の前で死んだ、と分かるようにしたいわ!

何度も想像してたの。
貴女の顔が痛みに歪む顔…希望の失われた絶望する瞳…助けを求める声。金切り声なのかしら、涙に嗚咽を込めた声?それとも、息も絶え絶えかすれた声で助けを求めるのか……。
死ぬ時の状況もたくさん考えたの!切られたり怪我をしたりしてそこから止まらない血、内臓が潰されて助からない、死を待つだけの痛みだけが襲う時間……!貴女が死ぬイメージだけじゃいけないわ、実際に確認しないと私は幸せの第一歩を踏み出せないのよ。

──だから今日は特別に貴女だけ殺せるようにとっておきを用意したの……準備にとっても手間が掛かったけれど…私に感謝なさい?」

きらきらとした表情でまるで演劇をするようにはしゃいだ後、これまでひとりのように振る舞ってた女がやっと隣の男を見て(あまりにも無反応すぎて私だけに見える男かと思い始めたじゃん…)顎で私の方向へとしゃくる。
角張ったモノの下を持ち、駐車場のコンクリート床に置いて風呂敷を解いた男。しゅる、と音を立て風呂敷を取り外したその四角い形状は馴染みのある箱……。

──ああ、この嫌な予感には身に覚えがあったわ。
固唾を呑んでその呪物を見つめた。

そこに現れたものは呪物、呪いの箱。
呪符をいくつも貼られた芸術品のような木材の組み合わせの見た目はきっと誰もが目を奪われる。その呪物の名を"コトリバコ"……私がたくさん目にした、春日家の地下にあったものと一緒。

『……側に居るとあんた、死ぬんじゃないの?』

その性質を知ってるからこそ鼻で笑って忠告すれば、女は薄い上着を一枚捲り、恐らくは呪い避けの呪符を私に勝ち誇った表情で見せてきた。

「私は死なない。死ぬのは貴女だけよ~?
さあ、貴女の死に面を私に早く…いえ、ゆっくりと苦しんで見せて?」
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