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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの


目の前の女はこちらを見てふん、と鼻で笑ってバカにしてくる…。

私的には彼女に同情はしてた、それは本当。
許嫁という約束された立場から引きずり降ろされ、自分で埋め合わせる相手を探した。引っかかった相手が悪く、何度も彼女の身も心も傷付けたんでしょう。
その傷付けられた結果が生き物が次世代を生み出す、その大事な役割を少々良くない状況にしてしまった。

人は生き物に分類しても、知能が高いからとか、心の在り方とかで別に男と女の番の中で必ず子孫を繋いでいく結婚が正しいとは限らないって知ってる。今の時代はさ…男同士でも女同士でも、そこに居心地だとか心が許せるとか、愛だとか……側に居られる、居たい相手に性別は必要なくて。
男と女で次世代へ生きた証を繋ぎたい事がたまたま出来るだけ。

──私も、今お腹に居るのは次の時代に繋ぎたかったから、無事生まれたら悟と一緒に大切に育てていきたいって思ってる。

彼女は男と女は子を必ず産まなくてはいけないと囚われたまま、自分の身体の現状を受け入れられなくなってる。それを可哀想だとか、あの時自身を見つめ直して新たな一歩を踏み出し、"許嫁"を忘れて生きてるんだって思って、あまり干渉しない方が良いと放っておいたのだけど……。

今回、久しぶりに会って、殺意ムンムンで子供をよこせ、は流石に無いだろ……。

イライラしながらも私自身、なんでこんな女に同情なんてしちゃったのかなあ、と後悔し舌打ちした。彼女自身と中途半端な同情をしてしまった私自身に苛立つ。

『悟との関係は互いに遊びじゃない。私と正式に付き合うにあたって、それまでの遊んでいた人との関係を彼は全員切っていたよ。
自惚れたくないけれど、これは事実だから言っておく。彼はあんたじゃない、私だけを愛してくれてるよ』

ゆっくりと自身の腹部を擦ってみせた。
たくさん愛された証がここに宿ってる。未来へと繋ぐ為に互いに同意して作った、新しい家族の居る場所を……。
その腹部を蔑む視線が突き刺した。

「ただの妄想よ、ああ、なんておめでたい人なのかしら!そのお腹の中も妄想のひとつ、かしら?」

……それはあんたの過去の話か?というセンシティブな言葉を今だけは飲み込んで。
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