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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの


ご機嫌なアイマスクな彼は私の胸に当てた手首を掴み、目的の部屋へと早足で進んでいく。時間に余裕がある、というわけじゃない。一時間程度で全てを終わらせるくらいの考えをしておかないといつまでもねちっこく、気が済むまで終わらなくなるのが目に見えているもんね…。
……本当に時間内に終わるのか心配だけど。

「着いたよ」

ドアストッパーがドアを半開きにさせている。そのドアを開け、ようやく私の手首を離した悟。足でげし、とドアストッパーを部屋内の端に蹴飛ばし、乱雑に靴を脱ぐ彼。

『ねえ悟、その…一時間程度に収めよう?』

空室である部屋に入ると目の前には精算機。それがなければぱっと見て割と良いホテルに見えるんだけど。
私も靴をゆっくり脱いでいると、こちらを向き不服そうな口元をしてる人。

「一時間?なにそれ、ぜんっぜん足りないじゃん」
『足りるように済ませてくださーい』
「えー?……ちぇー…、まっ!お部屋でいっぱいするからいっか!」
『……(そういやそうだった!帰ってからもあるんだ…!)』

ここに来るまで全く人に会うことなくラブホに入り、一時間という制限時間を設けられた彼は真っ先に風呂場を確認しにいった。ドスドスドスとは音を立てずとも大股で進んでさ…どんだけ早く致したいんだよ、この人はよぉ……。
アイマスクを下げて半透明な浴室のドアを開けて確認後、振り返った悟は私に向かってにっこりと笑っていた。

「うん、変なカメラはナシ!時間無いんだからオマエが先にシャワー浴びてな、その間ベッド周辺もチェックしとくから!僕はハルカが出た後にシャワー浴びるよ」
『了解、じゃあ先入ってる』
「ん、じゃあベッドで合流しよう!」

サムズアップをして行った彼の背。なんかちょっと格好良く感じたけれどすぐに正気に戻る。ねえわ、ただ安全にヤリたいだけだな……。

脱衣所でスーツを脱ぎインナーや下着を脱いでいって、浴室内で手早くシャワーを浴びた。タオルで体の水気を拭き、脱衣所でアメニティの棚を探ってバスローブをニ着取り出して。
一着は自分で着て、残りは畳まれたまま見えるように置いた。これは彼がシャワー浴びた後に羽織る用ね、と。

こちらへと近付く足音。悟がひょっこりと脱衣所に顔を出す。
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