第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの
「はい、ひょっこりはん!……きれいきれいにした?」
『ん、きれいきれいにしたよ、もっこりはん』
……ちら、と見た時、別にズボンが盛り上がってるわけじゃなかったけれど。数分もすればすぐに反応するんだ、間違いではないでしょ。
脱衣所を覗いてるもっこりはん事悟は肩を揺らして笑ってる。
「ははっ、言うね~?じゃあ次は僕の番ね、シャワー浴びてる間、キミはベッドで楽にしてて良いよー」
こくん、と頷き脱衣所で悟とすれ違った後に「あ」と何か言い忘れたように一声を上げる彼。
何か言い忘れかな?と振り返ると指を一本立てて笑ってた。
「ベッドに"猫じゃらし"があるんだけど、僕が出てくるまでオマエ…それで遊んでても良いよ?」
『……なんで猫じゃらし?』
うちや高専で猫を買ってるわけじゃないのになんでだろ?
この時期じゃあ、あっても枯れた猫じゃらしだろうけど野草取ってきたんか?と彼の言葉に引っかかるとクスッ、と笑われた。
「ハルカは猫みたいなものだしね……?キミと遊ぶ玩具を僕からご用意させてもらいました。
これ以上お話してもせっかくの休憩時間を無駄にしちゃう、ベッドで待ってて!」
ひらひらと手を振って片手で脱ぎ始める悟。
なんだかなあ…、なにが楽しくて猫の玩具なんぞで遊ばなきゃならないのさ?猫みたいなものって……。
これ以上脱衣所に留まっていても、上半身でアンディ&フランクっつって胸筋で一発芸でも始まりそうだからさっさと脱衣所を後にして部屋の中へと進む。
バスローブを整えながらメインルームに入れば、ベッドの上に何かがあるのに気が付いた。
『猫じゃらし…、』
……にしては形状が違う気がする。プラスティック製のなにかというか。
ベッドの側まで来てでそれを覗き込む。悟は猫じゃらしって言ってたけど……。
そこにあったのは猫じゃらしなんてものじゃなく。
『大人の玩具じゃん……』
振り返って丁度浴室に入ったであろう彼のドアを閉めた音が聴こえる。これから悟はシャワーを浴びるってわけ。すぐにこっちに来ないとはいえ、ひとり遊びだなんて。
手にとってピンクのボディを持ち上げるとそこに繋がれた細いコードと先端の楕円形のモノ。本体を弄ると繋がれたものがブブブブ…と暴れ、コードを伝って震えてる。これの効果なんて何度か経験してるから今更ひとりで遊ぶとかさ……直ぐに電源を切りました、ハイ。