第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの
──寄り道ってなんだろう?どこへ?
首を傾げながら差し出された手に私の手を重ねるとぎゅっと互いに握り合って進む足。ふたりきりだから高専に戻る前にデートでもするのかな?と淡い期待を持って。でも、その大きく弧を描く口元、歯を見せた悟はほんのりとした甘い時間は今は求めていないらしい。求めるのはそれ以上の、むせ返るような激甘な情事のお時間。
「決まってるじゃん!恋人だった時みたいにラブホで休憩していくよ~。そこでえっちをして高専戻ったら夜もたくさんシてさ、今日はえっち三昧だ!
酔ってる時間ないからアルコール無し、そこんところよろー」
『うっそ!?……せっかくの!!飲酒デーがああっ!!』
ステップを踏むような軽やかな足取りで車庫に進む悟。
フンフンとご機嫌に鼻歌を歌う彼は、まだまだ私のお酒解禁は許してくれなさそうです……。