• テキストサイズ

【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第38章 芽吹くもの、芽吹かぬもの


369.

高専の門前に黒塗りの車が一台駐車してる。
それは補助監督生が主に乗る車ではなく、五条家所有の車。その車には今は誰も乗車しておらず、運転席と後部座席に乗っていた二人の男女は車から降りていて今、私達の目の前に立ってる。
彼らに向かい合わせるように、その彼らを呼び出した悟と、息子を抱く私が並んでいる。

少しの間子供を預けるからと悟が高専前へと呼び出した五条家の二人。高専への門の中には入れずにこうして外でやり取りをしている。息子を預けるのが二回目となる今日、預ける二人組は五条家に訪問した時等に何度か見ている顔だった。私達より人生経験は多く、落ち着いた態度…悟も「何年も前から仕えてるし信頼するに値する人選だよ」なんて言ってた、ヒサカイのような心配の要らない人達。

……けれどもこの人達に預けるのは初めてで、ちょっと不安だったり…。

『それじゃあ、蒼空を宜しくお願いします…』

ぺこ、と頭を下げ五条家の呪術師の女性に預けようと、ゆっくりと蒼空を両手に抱いた手を近づければお任せくださいとしっかりと受け取り抱き微笑んでる。隣に居る同じく五条家に仕える男性に「これスペアの鍵」とマンションの鍵を悟が渡すと男性は受け取り、二人して頭を下げていた。

「では、坊っちゃんは我々が責任を持って預からせて頂きます」
「ん、うちにある冷蔵庫にあるものとか使っても良いし、粉ミルクも液体ミルクも買ってあるから使って良いよー、オムツとかも」
「はい」

男二人がやり取りをしてるのを見てから、女性に渡したばかりの腕の中の蒼空を覗き込む。ご機嫌に口角を上げ、瞳とよだれをきらきらさせてこの人達にあずけても大丈夫そう……かなぁ?
声を潜めてその小さな笑顔に顔を近付けて『悟みたいに人を困らせちゃ駄目だよ?』と声を掛けて少し屈めた体を起こした。
よろしくおねがいします、と言葉を繰り返し女性に蒼空をバトンタッチした時点ではにこにこご機嫌に笑っていた蒼空も次第に真顔になり、本人が"預けられる…?"とこの状況を察したらしい。
/ 2273ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp