第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹
ひとまず載せてみれば仮のものとしては充分。小さな身体のうちは少し余裕があり、自分の意思で動き回る事があまり出来ない今はこのままで良いけど……やがてはハイハイするようになる、そう活発になるまでにはこのままでも充分そうな感じかなあ……。
治療中だとかデスクワーク中に子供を置いておけるベビーベッド等はいずれどうにかしてくれるみたいで、今はこれが急遽用意できたもの。
それでも十分だよ、とありがたく感じながら、背負ってた荷物を外して下の段にしまう。
「う、うぁっ…ぐず、」
『あー…うんうん、ちょっと待ってね~』
くしゃ、と表情を歪ませ泣きそうになった蒼空を抱き上げ、そしてデスク前の椅子に座って腕の中の子供を揺する。私の首裏から幅広いリングのような布、スリングを通し抱っこの補助をしてるけれど、生まれた時よりも確実に成長してる重みが日々嬉しい。けど補助があるとは言えずっと抱えるのはキツイんだわ、これ。眠ってしまえば早速使わせて頂くんですが、腕の中の子の瞳はぱっちりしてる。眠くなさそう…。
「あっ、あーぅ、ぅ」
『ん、どしたの?』
両手を伸ばして私に顔に手を伸ばしてる蒼空。開かれた大きな瞳は悟より少し色味の薄い青。しっかりと光を受けてきらきらしてる短い睫毛が見える。私と悟と同じ髪色でかつて五条家で見た悟の幼少期にすっごく近い姿……(どことなくアルバムの写真と違うのは私の遺伝が入ってるせいかな…)
白い肌、白銀の毛に綺麗な瞳とまるで天使みたいだなあ~……にこにこと笑って手を伸ばしばたばたと手も脚も動かす息子に顔を近付けると頬をぺた、ぺたって触って私を確かめ、短いその指で必死に掴もうとしてきて掴めない…?なんて不思議そうな顔をして。
まだ言葉が上手く話せない。だから意味もない発音で、また「あー!」と言いながらきゃっきゃっと楽しそうに笑ってる。
何が起こっても楽しいんだなあ~……そのふっくらとした頬を指先でつついて笑い声が私と息子だけしか居ない室内に響いた。
……と思ったんだけど、実際には私と子供以外にもいつの間にか居たようです。
「……ン゙ッ、天使の戯れかな?」