第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹
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まだまだ目の離せない子供を連れ、仕事として高専内の職場へと向かってる私。
もぎ取る事の出来た僅かな育休は終わり(呪術師の世界はブラックだあ…)今回から医務室に復帰となる日が来てしまった。
……って言っても寮からの移動が面倒なら医務室に待機していれば良いし、今は忙しいハロウィンも過ぎた十一月。呪術界に訪れた僅かな平穏…と言っても呪術師は少ないから基本多忙だけどさ?呼ばれない時は寮に待機していたって良いのだし。
……まあ、その場合のんびりしてる中で携帯で治療だとか事務応援に呼ばれたら競歩orダッシュだけど。
私が身体を休めたり育児をしていた育休中、休みらしい休みを取れていなかった硝子。休日を回すための頃と比べると硝子の目元の隈が濃くなっていて凄かった。
それは医務室での休みを回す前の頃、繁忙期の彼女を思い出させる顔で、私が明日から復帰だと伝えれば緊張の糸が切れたみたいに微笑んで「やっと休めるな」と笑っていた昨日の彼女。
その時の姿を思い出しながら、ゆっくりと休んで欲しいものだよ……、と蒼空を抱え、医務室に向かいながら色々グッズを突っ込んだリュックサックを背負ってゆっくりと歩く。
腕の中に大事に抱えた我が子はたまにじーっと物に合わせて顔を動かし、きゃっきゃっと笑顔ではしゃぐ。
だからその悟に良く似た瞳は、お腹から出てきて色々な世界がきちんと映されているんだな、とホッとしてる。物音にも反応するし。健康体そのもの、元気が一番、だよ…うんうん。
ガラ…、と医務室のドアを音を控えめに開けて立ち止まり、内装が前に来た時よりちょっとだけ変わってるのを確認して……。
ええと、硝子が臨時でベビーベッドじゃなく二段構成のキャスター付き脱衣所の籠を置いてあるって言ってたな、と視線を動かせばそこにあった。ドアを開けたままその見えた籠の方へと真っ直ぐ迎えば新品っていうか誰かのお古なのかもしれないけれど、それを角に起き、手作り感ある格子が取り付けられていた。
頑丈そうな作り……触れても怪我をしないようにしてあって気遣いがされててさ……一体誰が着けたんだろ?