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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹


呼吸を整えて少しリラックスしてるハルカの髪を見る。地毛の髪は多く、白髪化は二度と地毛に戻らないものを含めても少ない方。出産時にヤバイって時は自身で治せるだろうけれど子供を産むことは命がけだ。出産で死んでる人だっている。
正直、そんな事は起こらないと思うけれど、今、ハルカが宿してるお腹の蒼空が生まれるのと引き換えに彼女が死んでしまったら……?僕自身、子供を作った理由が揺らぐ。

初めての事に嬉しさと不安の未来に戸惑いながら、再びぎゅっと目を閉じて『また、来た…っ!』と痛がってるハルカの手を祈るように手を包む。

──いよいよか。いよいよ、僕らのふたりだけの生活に、家族がひとり増える日常が来るんだ…!

ハルカからふと顔を上げてみれば、部屋にはいくつかのベビー用品。まだ少し足りないけれど一応、新たな家族を迎える準備は最低限だけど終わってる。
すぐに僕の手を握りしめるハルカの顔を見た。そろそろ僕が彼女を病院に連れて行く番だ…!

「……そろそろ病院に行っても良いだろ…、」

片手をハルカの手の甲から離して僕のスマホへ。何度も通った病院に電話を掛けて、いくつかの質問に答え、向かうことに決めた。
後はもう、僕は彼女を連れて祈ることしか出来ない。これから先はハルカの正念場、戦いは彼女に委ねるしなかいんだ。
スマホをしまい、繰り返す痛みの中呼吸を荒くしてるハルカの髪を優しく撫でた。

『さ、とる…』

涙目でその視線は助けを求める瞳。僕が少しでもその痛みを貰えたなら良かったのに、その痛みは彼女だけしか分からない。和らぐように、何度も優しく髪を撫でる。
……小さい頃にあったなあ、痛いの痛いの飛んでいけって。そんなおまじないが今だけ使えたら良かったのに。

「今、痛むのが落ち着いたら車に行くよ。僕が側に居るからね、痛いだろうけど、落ち着いて…」

いい子、いい子。がんばり屋さんなんだから、これ以上追い込むように"頑張れ"なんて僕の口からは言えない。十分彼女は頑張ってる。だから共に戦おう、新しい家族を迎えるためにさ?
にこ、と少し力なく笑ったハルカ。少しずつ痛みが引いてきたのを見計らい、僕はハルカを連れて病院へと急いだ。
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