第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹
「水って。おしるしっていう……血が出たりするんじゃないの?てか予定よりちょっと早くない?ねえ、ねえ、お腹痛かったりしない?大丈夫?
あ、待って今高専だからす、すぐそっち行くからね!このまま話していられる!?通話、切らないで!」
"んっ……うん、繋いだままにしとく"
やばいやばいやばい予想外にもまさかその時が来ちゃった…!?
こういう時はどうするんだろ、と僕ら夫婦のいち大事に色んな事が脳内を巡る。
学長に声を掛ける事、硝子に今ハルカが破水したって事を報告する事、それからそれから…!ああ、ハルカを迎えに行って、病院だっけ?お腹痛いのかな?今は水が出たって事は出てくるんだよね、赤ちゃんが!
とりあえずはここは硝子だ!と全ての選択肢のカードから医務室へと走る。緊急事態だ、だから廊下は走っていいんです!
"ははは…、悟、畳み掛けすぎでしょ…"
「よく落ち着いてられるね、キミ!大物か?大御所か?」
小さく笑ったハルカ。少し間を開けて僕のさっきの言葉に丁寧に答えていく。
"えっと、その水にうっすらそれっぽいの着いてるかも。気が付かなかったのかなー、それでベッドを水と血でおもらしみたいな染み作って汚しちゃったんだけど…"
「そんなの気にしないで、今は一大事なんだから!つけ置きだとか洗濯とか変に動いちゃ駄目だかんねっ!」
"ちょっと早いけどお医者様もいつ生まれてもおかしくない時期だって前に言ってたし大丈夫なんじゃない?ちなみに陣痛?はまだ来てはいないよ……今は。水は出てもまだ痛みとかはないかな~…"
医務室のドアを壊れそうなくらいに開け放つ。ガタン!って破壊しそうなくらいの音。ノックなんて知らない、呪力感知では硝子だけしか居ないしな。
中に居た硝子は僕を睨んで舌打ちしてたけど、こっちはそれを気にしてる場合じゃないし!