第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹
見せつけて、で私がした事をはっと思い出す。人が行き交う中で相手に見えるように堂々とキスをしてたって事……!
……やっべぇ~…、今思い返せば恥ずかしくなってきた。
目を反らし、溶けて氷の小さくなった手元の水のグラスを見る。私の顔にじわじわと頬や耳に熱が集まってくる、といいますか。今更自分でやった事で恥ずかしくなってきた…!これ、絶対真っ赤になってるでしょ…っ!
「んふふ、どしたの?急にキョドってさ~…」
『あ、あれはその……ウン。忘れてくれると嬉しいな~…なんて』
人前でなんて、ナシ。そういうの、結婚式とかなら分かるけれど恥ずかしいじゃん。いや、客観的に見て恥ずかしいです…。
あの時の喧嘩腰のあの人に"昔はあんたが隣に居た場所でも今じゃその場所は無い"のだと見せつける為にやった事で……。
一人の人間に態度で返すために周りを考えずにした事。俯く私頭上で悟はあはは!と楽しげに笑っていた。
「忘れるワケないでしょ、あんなに情熱的なハルカに僕もドキがムネムネしちゃったもん!乙女の気分で僕の作画が一時的にベルサイユのばらになってたわ!これは五条家に代々受け継がれし言い伝えになりますねえ~」
『や・め・ろ・や』
顔を上げれば笑った悟が半溶けのアイスをスプーンに乗せてこちらに向けてる。
さっき私、メロンクリームソーダ食べたんだけどなあ…、なんて思いながら口でそれを受け取りながら、「食べ終わったら買い物再開ね」と彼は当初の目的を思い出させてくれた。