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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹


周囲の人間が引き、忘れようと去っていく者、遠巻きで立って傍観してる者と現れ始める。女が街中で騒ぐから人の視線を集めてんだ……ご丁寧に叫ぶし呼び込みも完璧か?

ヒステリックに叫ぶ女に悟が頭上で舌打ちして、深い溜息を吐く。そしてすぐに真顔で誰かに電話をしていた。いつもの余裕ある、ふざけた態度を一切取らず、またその電話の相手は第一声で誰なのかが分かった。不機嫌そうな悟はまず、「恵、」と伏黒の名前を出している。

「恵、今どこに居る?……そう、じゃあ近くに居るんだな…良かった。その周辺、大通りの西松屋近くにハルカと一緒に居るんだけどすぐ来れるか?僕の代わりにハルカを守って貰いたい」

悟が伏黒に電話している間にその会話内容を聞いて女が声上げて笑った。

「ほら!あんたは悟さんのお荷物なのよ!私なら彼を煩わせる事なんてないわっ!弱小な一族なんでしょ?春日っていうのは!ああ、そうね?身代わりの一族って言ったっけ?
悟さんの危険時にだけ身代わりにさせてあげる!」

『……さっきから、ギャアギャアギャアギャア…喧しいんだよ、クソッタレが』

いい加減、黙り込んで受け流すのも限界だった。
黙っていれば勝手に相手がすっきりして落ち着くかと思えば、穏便になるどころか心に持つ炎をただただ延焼させてるだけ。自身で燃料かぶってゴウゴウと炎を盛り上げてる…。

……なんだ、この不毛なやり取りは。悟を苛立たせて、伏黒まで呼び出させて。皆の注目になって。
私の平穏な日々を、幸せな日常を、幸福が約束された未来を踏みにじる、悟の過去となった目の前の女が許せない。

私がただ黙って言い返さず、受け身の態度であったから言い放題だった目の前の女が一瞬真顔になる。そしてすぐに戦闘モードというか、また何度も感じた視線を放つ。

──おっかない顔ー…、それがあんたの本性なんだ。

「なに?あんた如きが私に口答えするわけ?私を誰だと思ってるの?」

悟が電話越しに伏黒との会話をしてる間に、こっちはこっちでキレるだけキレ散らかしとこ……ふんす!と鼻息を吐いて。

『大昔に振られて事実を受け止めず、よりを戻したくとも悟に受け入れて貰えない哀れな過去の女はすっこんで貰えます?』
「はあ!?私は悟さんに振られてなんかいないわよ!?」
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