• テキストサイズ

【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹


「星五!たくさんの呪術師を治してる僕の奥さん……好(ハオ)です」
『高評価やん。やだ、そんなに評価してくれるのなら今夜のご飯、悟の好きなものにしよっかな~!とろけるプリンも買っちゃうか!?』
「チョロかわアーンド好き!!!じゃ、半熟たまごのオムライスにデミグラスソース掛けたの!僕のたまごにハートマーク書いて~、ハルカのちょっと下手くそなハートマーク!」
『おい、街中、声量!』

周囲の視線をひとりじめレベルでのハイパーボイスのろけ。なんだ、このバクオングは。
注意しても反省してるのか分からない態度でうん!と頷き、軽いステップを踏む脚。これこれ、引っ張るなっての!
そのハミング混じりで浮足立つ悟がぴた、と止められ「止まって、」と至極真面目な声に私は彼に従った。テンションの温度差が今日も激しいです…。

『……どしたの、悟?』

止めた彼の脚。ぎゅっとしがみついた腕の彼の顔を見上げれば真剣な表情で前方を真っ直ぐと見ていた。悟に釣られて私もその進行方向を見る。
そこには私よりは少し控えめにお腹を大きくした細身の女性が立っていて、にっこりと幸せそうに笑っていた。

知らない人、会ったことが無い人……なのに、この気配というか、ザワザワとする胸の奥の本能というべきか。これまでに何度も感じた日常の違和感を思い出させ、人物との関係をどうしてか疑わせる。
私と悟の絡めた腕、悟の腕に私がぎゅっとくっつけば目の前の女はギロリと鋭くこちらを睨んでいた。
その突き刺すような視線の中で悟は優しく「ハルカ、僕から離れるなよ」と声を掛けた。

「随分と久しぶりなんじゃないの?わざわざ僕達の前に立ちふさがってんだ、何か用があんだろ?」

「──こんにちは、悟さん……あなた、右側に変なひと、いえ汚らわしいものがこべり着いてるわ……、」

悟さん、という言い方。そしてふと脳裏にかつて悟の実家で見たアルバムの小さな女の子の成長を重ねていく。もしかして、目の前の人はその人物なんじゃないのかな…?
およそ中学生くらいまでは一緒に写っていた少女に非常に似ていて、そして前に言ってた許嫁の執拗な着信。

──嫌だねぇ……、なんというか女だからっていうの?変な勘がやたらと良くなってしまった。
/ 2273ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp