第5章 "好き"が止まらない!
「誰のものでもないまっさらなハルカをさ、自分のモノに出来るんだもん。独り占め出来るんだよ?だったら欲しいかなー…
うん!実を言えば僕はハルカが前から欲しかったんだよねー☆」
『はぁ…モノ扱いすんな。
……独り占め…、ね』
人通りが多くなる前に悟は片手でサングラスを取り出して掛け始める。その様子を見ていたら、視線に気がついた悟はばちん!とウインクをしてきた。
その攻撃に私の心臓が大きく跳ねた気がした。それを悟られたくなくて悟から視線を外した。
『自分の造形の良さを知っての行動腹立つわー…ずっと不審者スタイル(アイマスク)にしてれば良いのに』
ほとんどが隠れるからまだ耐性があるし。表情の多くが隠れるし…。色々と助かるものがある。
「ちぇー、つれないねぇ。ハルカだけの特級呪術師、五条悟だっていうのにさ!
でも、顔を隠せとかそう言ってくれるってことは僕の事を格好良いって思ってくれてるんでしょ?」
ちら、と悟を見上げて、その自信たっぷりな表情にちょっとむすっとした。分かりきった事を言うよね。言わせようとしてるのが見え見えなのがたまらなくムカつくし、そして確かに惚れてる自分が居て腹が立つ。
私はどうして五条悟という男を好きになってしまったんだろう。世の中にはきっと、もっと色んな人が居るというのに。
人差し指と親指、僅かな空間を開けて悟に笑う。確かに格好良いって思っているし。
『……ちょっとだけ、ね』
「本当でござるか~?本当はめちゃめちゃ格好良いっ!イケメン!って思っててくれてない?」
『はいはい、そうだね、良かったね。もう駅だからそんなにくっつかなくても良くない?動きづらいし』
腰に回された腕。お互いの体がかなり密着してて飲み屋帰りのおっさん達等の視線が痛い。
ただでさえ悟は単品でも目を引くのに。薄いサングラスでちょっと格好良い服とか着て私にべったり着いてるのは更に目立つ。
時間帯的にも人が少し減ってきた駅に入りながら、悟は腰から肩に手の場所を変えた。