第5章 "好き"が止まらない!
意外と…は失礼だなと反らした視線を悟に向けると視線が合った瞬間に微笑む。
信じられない、私の事を悟が"好き"だなんて言ったのが。私は特別容姿が綺麗だとか良い家系(じゃないよね、春日一族は)だとかじゃないのに。その優しい笑みに私も笑い返してしまった。
私の背に回された腕がするりと解かれ、片手だけが腰に回される。私は悟に回した腕を完全に解くと、その私の腰の手が少しばかり押して自然と歩が進んだ。
「とりあえず帰ろうぜ。キミにはゆっくりで良いから僕を教えていってあげる。それならいつかは僕を受け入れてくれるよね?
まったりまったりまったりなーってね!」
『……プリンでも食べてな平安貴族』
なんでこうも気障ったらしく堂々と言えるんだ、と聞いていて恥ずかしい。ゆっくりと五条悟という人間を知ったら私は悟を許し、最終的に体を委ねるという事。
どきどきとしながら、ちょうど公園の敷地を出ながら悟を見上げる。じっと見ていた悟と目が合ったらまた微笑まれた。
『どうしてそう、体をさ…求めるの?きっと私は悟にとっては面倒くさいんじゃないの?その……初めて、だし』
私はただ一色の白のまんまであって、誰かの色に染まって居ない。
もしも時が来るならばそれは好きな人なら良いなと思うけれど、それはちゃんとした段階を経て受け入れたい。
……そういえば、龍太郎にしろ、チャラ男にしろ身の危険にあった時は悟が助けてくれている。それでいて悟は添い寝はするけれど、変に手は出してこない。だからか私もベッドに潜り込んでいても悟には危険性をあまり感じなかった。ただ単に魅力が無いのだろうとも頭の片隅にあったけれど。
でも、さっきの発言で悟にも私に手を出したいって欲求があるのだと知った。僅かに強張る私の体、悟の言葉を待った。
「ん?だって好きだからモノにしたいって思わない?好きな子をさ、五条悟のものでーっす!っと出来るんだよ?」
『…うーん?』
はて?そうなのかな、と首を傾げた。
男女の意識差なり個人差もあるだろうけれど、私の場合は側で体温を感じる程度に居られたらそれはとても満たされる事じゃないのかな、と思ってる。
そういう意識面にしても経験が少ないから鈍いとか言う前に分からない。だいたいが恋が発展する前に悲しいかな、身内に新芽は刈り取られていたから。
だから悟に"分からない"とだけ、私は伝えた。