第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹
「後でで良いから白いバラの本数の意味、調べてみな?それが僕の気持ちだから」
『本数?……花言葉ではなく?』
悟の笑顔から薔薇へと視線を落とし、一本、二本…と数えてみる。
「ん、花の意味も大事だし、その通りだけど…」
青は六本、白は…九本!全部数え終えて悟を向けば花束を抱える手の甲に熱を持った柔らかいものが触れる。
……急に、こういう事するんだよなあ。久しぶりにドキドキという鼓動と頬に熱が灯るのを自覚したよ。
『~~~っ!
そっ、そういう所だぞ……五条悟~っ!』
「あはっ!いいじゃん、手に入れるのに苦労したオマエなんだぜ?これくらい分かるようにしなきゃ実感出来ないだろ?」
『………っ、まったく…』
自身満々の表情で立ち上がった悟。自分の椅子に座って、脚を組んで楽しげに頬杖をついて微笑みを浮かべている中で私はテーブルにブーケを置いて出来るだけ染まった顔を見せないようにと顔を伏せて携帯で調べ物をする。
青いバラ、白いバラ、それぞれの本数の意味。
それらを調べ、ゆっくりと顔を上げれば目の前の席には嬉しそうな表情の彼。
歯を見せて落ち着き、優しくも甘い声で「愛してるよ」と、頭がいっぱいいっぱいの所に追撃して……。
ふたりとレストランのスタッフ達の居る中で、小さく『私も、愛してるよ…』と恥ずかしくも目の前の人にそう呟けば、しっかりと私の声を拾った彼が嬉しそうに微笑んでいた。