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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹


359.

繋いだ手。悟にゆっくりと引かれて、大きくて重いお腹を抱えて進む。何度もこちらを見て、時々休憩する?と心配してくる所が散歩中のわんこみたいな雰囲気を出していたちょっと可愛い彼の態度に思わず笑みが溢れたり。

今は通い慣れた病院の帰り。
色々な事があっても強く逞しく、順調な成長を遂げているお腹の中の男の子。たくさんの名前の候補を少しずつ削っていって、片手ほどまで絞ったいくつかの名前。その中から悟と共に最終的に決めた名前が蒼空という名前だった。

蒼空はどんな声で、どんな髪色で、どんな瞳の色をしているのか。どっちに良く似ているのか……。
まだこの世界に生まれていないけれど、先生曰く体がいつ生まれても良いくらいに成長をしているから気を付けて、という事。予定日はあくまで予定日。この子が外に出たい!と考える時か、私の身体がそろそろ外の世界を見てこい、と反応するその時が待ち遠しい。
そんなまだ九月に届かない、八月の下旬の夕方。ご機嫌な悟は時々振り返って笑顔を見せている。その早く走りたい!ってせっかちな気持ちが伝わる歩く速度も急に立ち止まり、洋風な外見の建物前で手を繋いだままの悟は微笑んでいた。

「お店に着いたね!今日はこのお店でご飯を食べます」

まだ少し明るい空の中で入店する高級感のあるお店。フレンチか…、と見渡せばスタッフが並んで迎えてる。悟の私服は普通にこういうお店でも通用しそうだけど、私、普通に私服なんですがいいの…?流石にドンキとか行くラフな格好じゃないけど、お腹に負担の掛からない緩めで温かい服。ドレスコード必要な店だったんじゃあ……。

見渡せば私達以外のお客さんは居ない。それで私は察して口の中をキュッ、と噛む。

──貸し切りだ、コレ!この人またやりやがったな……!

広い店内のホールまで進み、スタッフが私が座る椅子を引く中で『ありがとうございます…』と腰掛けて。悟も座って恐らくは本日のお客様はたった二名という雰囲気の中、にこにことサングラスの奥の瞳を細めて笑っていた。

「ねえハルカ、今日なんの日か知ってる~?」

『……?』
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