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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第36章 私達だけの世界


「ク、クククッ…どういう冗談?生真面目なキミも冗談言うようになったんだ?」
「冗談じゃないの、本気で悟さんとの子供を妊娠したの」
「あはっ!……笑えない冗談止めろよ、僕は奥さん以外もう愛さないし、抱かない…ぜーったい!
オマエなんて、手…それ以外触れた事すらないんだから。小さな子供じゃないんだ、手を繋いだ、キスをした…それくらいでコウノトリさんが来る事をまだ信じてるクチ?」

そんな子供騙し、あったよなー…なんて思い出したりね。目の前の彼女はブチキレてるけど。

「違うっ!それでも…っ!」

必死な彼女の脇を通って進む。僕にしがみつこうとしてたみたいだけれど、無限に阻まれ僕に触れる事は出来なかった。
ギリッ、と悔しそうに歯ぎしりの音が聴こえて、それすらも懐かしく感じた。

……確か、僕に気に入ってもらおうと色々世話してきたけど受け流したから悔しがっていたんだっけ。どういう世話だったかは詳しくは覚えてない。よく悔しそうな顔してんなー…ってその表情が焼き付いてるだけ。

「悟さん!悟さん、悟さん、悟さん…」

壊れたラジオみてえだな。僕の名前を連呼しても、未だに"さん"が付いてる、無限に阻まれたみたいな関係。ハルカなら速攻呼び捨てで、僕に阻まれる事無く近付けているのにね…?
誰の子供か知らないけれど、その膨らんだ腹部を離れた位置から僕は指差した。

「それ、その腹の子。大体他の男との間に出来た子だろ。僕のせいにして押し付けるとか最低じゃない?金目的なら身内なり国の制度に頼りなよ、僕とキミの関係はとっくに切れてんだ。
その子の為にもちゃんと彼氏と話し合いな~」

片手でひらひらと背後の女に分かれを告げる。僕の子、だなんて随分と病んだ事を言うね。何度も背後で僕の名前を叫ぶ女は一度静かになった、そして。

「悟さんを奪ったあの女…っ!腹の子供と共にハルカも死ねばいいっ!」

「……」

──…あ゙?

血が一気に頭に上る苛立つ一言。
今、なんつった?誰に死ねって言ってんだ?しかも僕の楽しみにしてる子供まで巻き込んで……。
チッ、と舌打ちをして振り返れば走り去るかつては許嫁という存在だった、狂ってしまった女の背中。強い憎悪を込めた呪いの言葉が僕の頭の中で何度も何度も繰り返してる。

──死なせるわけがねえだろ…、ハルカも子供も、絶対に僕が守るんだ……。
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