第36章 私達だけの世界
七海もとばっちりだよなあ…、たまに傑、勘が鋭いからあまり変な事考えないようにしよっと!
眉間に皺を一瞬寄せてた七海から自身の腹部に移して片手を当てる。太っていないのにこんなにここだけ硬く膨らんで、自分で触れてるという感覚がある不思議。膨らませているのは子供だっていうんだから私の中に神秘を感じてる。
『……ああ、急に成長してきたっていうか…重くなってきたっていうか』
以前の成長が遅くて不安だったり、本当にお腹に居るのか不思議だったのが嘘みたいにすくすくと成長してる。
今は六月の終わり。二週間に一回の通院に縮まった病院も、数日前に悟と行ってきた。
大きくなったお腹の中の子供はこれを見ろ、と言わんばかりに大股開きで上向きなちんちんを映り込ませていた、息子……。小さな身体でありながら立派なものを生まれる前から自慢してる。そんな息子の息子に悟は顎に手を当て、「流石僕の息子だ!ジュニアもまあ、ご立派!」と先生達の前で堂々と言い放っていたので、流石に頭をパァン、とツッコんでおいた。
……そのジュニア事件は置いといて。
うん、お腹の子は元気に、とっても健やかに七ヶ月目に入ってる。絶好調な成長具合に結構私自身の移動などが辛くなってきてそろそろ出勤日数を減らしていかないといけないんだよね。
ただ、減らすのは事務の方で医務室はどうしても減らすことは出来ない。治療出来る呪術師は限られていて、その術師はロボットじゃないから休憩はしていかないと、じゃん?
まっ、事務も基本は座ってるから良いんだけれどさ?その状態から医務室への召喚がきついって事で。
「そろそろ妊娠後期に入る。色々準備はしときなよ」
トレイに注文したドリンクを乗せたスタッフがこちらに向かってくるのを確認した硝子が私に笑いかける。
グラス内の氷を鳴らしながらスタッフが皆にグラスをそれぞれへと配る中で私は硝子のアドバイスを受け、ノンアルをスタッフから受け取って…。
「で、今の所どれくらい子供を迎える準備は出来てんの?」
『はい…少しずつですが、買い始めてるんですけれど、ねえ……?』