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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第36章 私達だけの世界


355.

悟自身で広げたものや、野薔薇達により広げられた写真を個別に回収して、紙袋を片手に部屋へと向かう私達。
先頭にはポケットに手を突っ込みながら進む傑。傑のお後をサンダルでぺたぺたと追う私達を振り返って何か言いたそうな表情で前を向いた彼に、悟が「なんだよ、今何か言いかけたろ?」と突っかかっていた。
電話をして私達を直接探したという割に、急ぎというわけじゃないのか彼の足取りは落ち着いている。このまま私の部屋に向かってそこでゆっくりと話を聞くつもりで。

……私が関わる、となるとなんの話だろ?コトリバコの件がバレた?それともなにか最近捕まえて拷問する人でも……。

ポケットに突っ込んでた鍵を手に持ち、部屋の鍵穴に鍵を差し込み回す。カタン、とその解錠音と共に浮かぶ記憶。
…最近捕まえた、となると…──。

私の動きが固まった事に悟が私の横顔を覗き込んできた。

「……どうした?動き止まってるけど…」
『いや、なんでもない…、ほら鍵開いたよ、先どうぞ』

彼らを先に部屋に上がらせて部屋に最後に入る私はサンダルを脱いで上がる。足元を見て靴が揃えられている中、空いている所に私の靴を置いて…。

……多分私や悟が関係ある、となると結婚式の時の事件だ。
その場の記憶をとりあえず無かったことにしよう!と仕切り直しをしてから時間を延長し、式を決行して無事じゃないけど式自体は滞り無く進行出来て。終わった後はそのまま友人達に会ったり、悟が学長に交渉してもぎ取った五日間を堪能する新婚旅行に行ったりして…。
きっと、私ひとりだけの時間があればそれについてを考える事があっただろうけど。甘い時間はそれを許さず私を満たしてた。

非術師の友人達は、何が私の身に遭ったのか呪術師の誰かが近付けないようにしてくれたおかげで式が遅れた原因は不明のまま。あの時に捕まえた、私を道連れに死のうとしてた男は旅行から帰ってきてから尋問なり煮るなり焼くなり……と言ってたっけ。

それを思い出しながら机に封筒を置き、お茶を入れようとキッチンに向かうと「僕がやるから座ってな」と悟が進んでやってくれる。
私はその言葉に甘え、お礼を伝えてから椅子に座った。カチャカチャと食器や、戸棚からお菓子を取り出してる悟の背を見上げて椅子に座った傑をじっと見て。

『……あの、私だけじゃなく運転した男共々死のうとしてきた話、ですか?』
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