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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第36章 私達だけの世界


「僕の方が勝ってる。ちなオマエ、どんな時の?」
『遊園地のちっさい観覧車の自撮り』
「ありがち過ぎ。もはやノーマルスチルじゃん。僕のは事後の時の自撮りだ、激レアエロシーン」
『ンなもん現像に困るわっ!えっ、おっぱいとか下半身写ってない!?』
「モロにハルカの乳首映ってたよ~!」
『デリート!今すぐに消せっ!』

却下だ却下!と物言いをした後に部屋に訪れる静寂。庭の小さな小川のせせらぎが聴こえて、本当にこのふたりっきりの日々が明後日で日常に戻ってしまうのかと思うと寂しい。

私のことを見て微笑んでる悟が瞬いてる。薄明かりが星空みたいな瞳に魅せて綺麗。悟だけが私に向けてくれる、昼の青空も夜の星空も彼の多くの視線を独り占めして嬉しい。
このずっと居られる時間は明日高専に帰って、翌日からは任務でがくんと少なくなってしまう。つまり、呪術師としての日常に戻されるって事。
そっと、既にやや乱れてる浴衣のはだけた胸元に顔をうずめた。もっと悟を感じたくって……。
嗅ぎ慣れて落ち着く彼の体臭と、少しだけ汗の香り。逞しい筋肉と私よりも少し高い体温……。

「ふふ…、寂しんぼモードだね」
『ん……この旅行だけじゃなくて、たまにでいいから悟と旅行したい。沖縄とかテッテーとかわがまま言わないから、のんびりとさ、悟と一緒に居られる旅行をさあ~…』

背に回された腕、その手が暖かくて気持ち良い。頭上の悟は短く笑った。

「普段は忙しくて毎週だとか毎月は無理かもしれないけれど、時々ならこうして出来るよ。皆に人気で引っ張りだこな特級呪術師でも僕もちゃんと人間だもん、家族サービスくらいは許されるさ」
『最低でも年に一度は保証して欲しいなあ……出来なかったら呪うかんね?』

すり…、と素肌に頬擦りをすれば胸元から呼吸音と定期的な心音が聴こえる。背の手のひらがとんとん、とあやすように優しく撫でていて優しくて心地よくて…。
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