第36章 私達だけの世界
この旅行中にたくさんの記録をした私と悟の携帯。式の時から、友人との写真、そしてこの旅行ととりあえず何でも良いからふとした瞬間を…そしてふたり一緒の時を収めていた。
プリンターを使ってでも良いけどインクの量だとか印刷につきっきりになる。コンビニもさ、あれとこれと~…って選んで印刷されるのを待ってって時間が掛かるし。だったらデータを置いていき、プリントをして貰うのもアリなんじゃないのかなって。
悟はコンドームを外した後のペニスを丁寧にティッシュで拭った後に、私から下着を受け取って履いていた。
「んー、そうだね、頼んどくか。僕もオマエもたくさん写真撮ってたしねぇ……。
ねっ、お互い撮った中でベストな一枚を競わない?」
『……ん?ベストな一枚?』
下着を着けたから今度は浴衣を羽織っていく悟。私も浴衣を着終わって整えていると(翌朝には乱れてるだろうけど)彼は「そっ!」とキメ顔をして布団の上、先に潜り込んだ。笑顔を向け、敷布団をぱんぱんと叩いて私を呼び込みながら。
「ベストな一枚をお互いに出すの。勝った方は相手の言うこと一つ聞く!負けた人は勝った人に従う!これ、良くない?」
『わー、いいかも!へへ…っ、どれにしようか迷っちゃうなっ!勝ったも同然だもーん』
ふふん、こちとらいっぱい写真撮ったもんねっ!と掛け布団を少し持ち上げてる悟の隣に潜り込むと直ぐに引き寄せに掛かる腕。捕まえた!と喉元で笑う声はとても楽しんでいる。
「勝つ気満々だね?そう簡単に勝てると思ってんの?僕もたくさんいい写真を撮ってるんだ、ハルカに負ける気しないんだけど?」
『そうかなぁ?でも私の方が絶対に勝ってるもんね、背景とマッチして超イイの撮れたし!』
あの写真は自信があるな……と、この最後の夜までに過ごした日々の一瞬を思い出して悟に対抗すれば、もぞもぞと動いて私の顔を見た悟も随分と自信のありそうな表情で笑ってる。