第36章 私達だけの世界
釣れる前提ではないけれど、取らぬ狸の皮算用…、もしも釣れた時の心配もしちゃう。やるからにはさ?成果が欲しいじゃん?
そこはリリースってのもあるけれど……でも食べられる魚なら、せっかく釣ったら食べたい!って思う。だって新鮮だよ?昨日のニジマス、調理して貰ったんだけど、塩焼きもムニエルもとっても美味しかった!聞くに養殖できちんと管理されてるんだったらお刺身で食べられる釣り堀も中にはあるのだとか…!
海の魚も新鮮なうちに食べたいじゃん、釣れたらどうしますの?
悟はサムズアップし更にウインクをした。
「そんなの旅館に持ち帰ってご飯が豪華になるだけだねー!」
『おっしゃデカいの釣るぞ!』
「僕、頑張ってホワイトツナ釣っちゃうからねっ!ほら、車に乗った乗ったァ!」
『ホワイトツナは絶対に止めろ~??男女ともにケツが大惨事になるかんね?』
悟に急かされて助手席に私も乗り込んだ。エンジンを掛けて海の見える方向へと車を発車させた彼。窓を開け、潮の香りにわくわくする。
釣具やさんでおすすめの釣り場を聞いて漁港へと来た私達。日中は釣り客が多いけど、実際に行ってみては?と、初心者な私達はおすすめされるがままにその漁港近くへと車で入っていく。
近くに釣具やさんがあるって事は海釣りをする人も多いって事。既に日中の漁港、船着き場沿いにアウトドア用の椅子を置き、のんびりと釣りをしてる人達がずらりと並んで居た。
停車した所で「あっ!」と声を出して舌打ちした悟はショリショリと頭を掻いてる。
「あー…突発的なレジャーは色々と準備不足になるねえ……、椅子持ってきてねえんだけど。僕がヨツンヴァインになってオマエ、座る?」
『ンなスプーみたいな展開やめて、視線も気になるし。なんかのプレイ中か?って視線が痛いでしょ。
バックで海側に停めて、バックドア開けた所で腰掛ければ良いんじゃん?』