• テキストサイズ

【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第36章 私達だけの世界


「はい、ハルカちゃん、こっちに目線頂戴!」
『ん、見てます見てます』
「そう、いい子!」

携帯の画面で悟が笑ったのを見て、私も笑うと画面の中の彼は目線を向けた後私に向けてた青空みたいな瞳。画面の中で見せつけられる、悟に頬に唇を寄せられた瞬間にカシャ、という短い音。画面を見上げた彼はしてやったり、という満足げな顔で携帯を降ろして。

『……もー、なに撮ってんの!』

頬に温かく、柔らかい感触が残ってる中で隣の悟を見ればいい笑顔。

「んふー、いいじゃん?イチャイチャしても許されるんだ、だってこれ新婚旅行だぜ?ハネムーン!」

そっかあ……と頷き、私がさっき地面に置いた竿を拾う背中を見て正気に戻り、そうか??と疑問になりながら、悟が針を針止めから外してるのを見て、私も片手に持つ竿を見る。
細かい事は気にしないでおこう。式の誓いの言葉の後のなかなか離さないディープキスよりはマシじゃんね…、と餌の粘土状の団子から少しむしり取ってるしゃがむ彼を見た。

真剣に指先で捏ね、針に取り付けて。にこ、と笑った悟が見上げてる。

「ハルカのもやってあげる?」
『いい、せっかくだもん、こういう事は自分でやらなきゃ!』

共有してるバケツの側、ゆっくりと腰を降ろして団子から私も餌を千切って。ねちょねちょしてなかなか丸くならないな……、となんとか丸めたものを針に着けて。

『ん、出来たっ!』
「よし!さっそくキャストしようぜ!」

ブン、と竿先を振る悟。見事遠くにポチャ、と糸の先の針は落ちたけど、途中にも水の波紋。そして魚がそこをバシャ、と尾びれを見せたのを見逃さない。
しらー…と私は悟を見る。悟も私を見ながらに、すう…とリールのない糸を手前へと引き寄せている。なにキャストしてんねん。

『振らなくて良いって言ってたでしょ!ちゃんと聞いてた~?』
「えー?初耳かも、今聞いた、基本僕の耳奥さんの言葉優先だから店員の声なんてノイズキャンセリングでカットされたんじゃねーの?」
『……もっと世界を広げておけ~?』

こうやるんだよ、と受付時の説明通り、振り子のようにすっ…、と手前から奥へと餌付きの針を少し離れた場所へと落とす。ポチャ、という小さな音と水面のサークル。これなら餌も落ちないもんねー!とドヤ顔をして、下唇を出す悟を笑いながら手応えを竿に感じて。

『あっ…!来たかも!』
/ 2273ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp