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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第36章 私達だけの世界


GOGOGO!と散歩にはしゃぐ犬に引っ張られるように、元気に受付に向かいながら進めていく足。
この旅行の間だけはただの非術師の男と女でありたかったけれど、どんなに見えないフリをしようとも花に誘われる蜜蜂や蝶の様に、物陰に隠れていた呪いが帳無くともこちらを見ている気配。
よく、デートに行くよ!とか誘われて任務でした!って流れは悟によってされていたけれど、呪術師だって事を忘れたい時でも容赦なくあちらからやってきてるんだ。
……完全に普通には戻れなくなっちゃったんだな、私も、この人も…。
少しだけぎゅっと、握った手に力を入れた。

「……大丈夫、僕が守るから。ハルカには触れさせやしないよ。だからオマエは普通にしてて、今だけは僕だけの可愛い奥さんで居て?」

甘い声でそう囁かれた後風が吹き、周囲の呪い達が祓われていく。前方に見えたなにか四足の生き物が、解けたような形の呪いが縦に割れて紫の体液を撒き散らす。その飛沫が進む道筋に飛び散り、そこに行くまでにはスゥ…と消えていった。
視線はあるけれど離れた呪いは私達から距離がある。
「こっちから向かうのはキリがない」と悟は一緒に居ることを選んで、繋いだ手をしっかりと握り受付に向かった。


****


受付でバケツだとか竿だとか、餌だとか。それから遊ぶための諸注意と終わった後にどうすれば良いかのたくさんの説明を聞き、受付を後にして。受付で渡された道具をお互いに持ち、私と悟は足取り軽く川沿いを歩いていた。

川の中でもいくつか石で区切られていて、看板で番号が書かれてる。混んだ日などは指定されるらしいけれど今日はこれでも混んでいないらしい。だから自由に好きな所で釣れるってね!

…どこにしよ?せっかくならさ、大きい魚とか釣りたいな。そう魚影を目を凝らしながら見れば川の中の背景に良く溶け込んだ色をした獲物がチョロチョロと泳いでるのが良く見える。
こっちから良く見えるように、向こう側からも良く見えるから釣れないんだって、以前虎杖が言ってたっけか。
じっと川の中を覗いてたら竿の先で私の肩をつんつん突く隣のデカい坊や。

「ほら、きょろきょろしても良いけど足元に気を付けてよ?オマエ、おっちょこちょいなんだから」
『ちゃんと見てますーぅ……あっ!悟、魚が跳ねたっ!』
「えっ!どこどこどこっ!?」
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